2023年は、コロナ禍で中止になっていた花火大会が各地で開かれます。舞台裏を支える花火師にも忙しい夏が戻ってきました。

 夜空を彩る打ち上げ花火。花火シーズン本番、今が一番忙しいのが愛知県豊田市の「豊田煙火(えんか)」です。

 全国の花火大会で打ち上げる花火を生産していて、大きいものでは直径200メートル以上になる花火玉を作っています。

花火師の佐野さん:
「今はかなり忙しいです。コロナ前と同等かそれ以上くらい。夏ってこうだったなと思い出すことができてうれしい」

【動画で見る】直径200m以上になる花火玉も…コロナ禍で中止だった花火大会が各地で復活 支える花火師に忙しい夏戻る

 火薬を扱うため、わずかな静電気にも細心の注意をはらいます。

 花火を高く打ちあげるための黒色火薬。わずか18グラムで小さい2号玉なら100メートル打ち上げることができます。

佐野さん:
「グラムが少ないと花火玉が低い位置で開くことになっちゃうので、最悪(火花が)地面に落ちてきたりする危険性があるんで。1日500個くらい作ります。扇風機とかは使わないですね、暑いですよ」

 爆発させる「割薬」と美しい色を生み出す「星」をバランス良く配置するのが美しい花火の秘訣です。

 最後に紙を何枚も均等に貼り、乾かすと丸くて大きな花火が完成します。1つ出来上がるのに平均で2か月半もかかるといいます。

佐野さん:
「今貼っているこの6号は来週の「豊田おいでんまつり」で打ち上げる予定の花火。きれいに貼ることで、少しでも良い玉をお客様に見てほしいなという思い」

 日本の花火発祥の地ともいわれる三河地方では、古くから多くの職人が花火を作ってきました。

 しかし新型コロナの影響で花火大会は相次ぎ中止になり、この工場でも一時は例年の5%にまで生産が落ち込みました。

 2023年は花火大会が相次いで復活。この花火には未来のために環境への配慮もありました。

佐野さん:
「(Q.花火専用の紙?)米袋です。一回お米が入って紙がくしゃくしゃしているんで球体に貼りやすい。農家さんからわけてもらう。糊も小麦粉と水だけで炊いた糊です。豊田だと矢作川でアユとかもとれるから生態系に影響がないように」

 コロナ禍を経験し、戻ってきた忙しい日々。心を込めて作った花火が、この夏大輪の花を咲かせます。

佐野さん:
「花火大会がなかった時期に、花火は本当に要るのかなと思ったんですよね。花火大会が復活してくると皆さんの生活に根付いているんだなと。事故なく無事終わることが一番ですけど、久しぶりに大会に行かれる方とかも多いですし、楽しんでもらえればいいなと思っています」