将棋の藤井聡太七冠と、豊島将之九段の「王座」挑戦者決定戦が、4日朝から始まっています。藤井七冠は前人未到の八冠全制覇に向けた最後のタイトルへの挑戦がかかっています。

 関西将棋会館で行われている「王座」挑戦者決定戦は、八大タイトル全制覇を狙う愛知県瀬戸市出身の藤井聡太七冠と、同じく愛知県一宮市出身の豊島将之九段の対局です。

 プロの世界では先手が有利とされていて、振り駒は藤井七冠の先手となり対局が始まりました。

 負ければ即敗退、一発勝負のこの王座戦挑戦者決定トーナメントでは、藤井七冠はベスト8に勝ち残ってからは壮絶な戦いが待ち受けていました。

【動画で見る】運命の振り駒は藤井七冠の先手に…残るタイトル『王座』の挑戦者決定戦 対する豊島九段が序盤から工夫凝らす

 独自の戦法・新村田システムの秘策を用意して臨んだ村田顕弘六段との対局では、藤井七冠が土俵際まで追い込まれますが、終盤で逆転。

藤井七冠:
「苦しい局面がずっと続いていて、本当に最後の最後に勝ちになったのかなと思います」

 準決勝では、将棋連盟の会長に就任したばかりの羽生善治九段と対戦。

 互角の状態が続きましたが、最後は羽生九段の攻めを切らせて勝利しました。

 そしていよいよ決勝。最後の「壁」としてぶつかるのが豊島九段です。

 豊島九段といえば、藤井七冠がプロになる前の小学6年生の時に胸を貸していて、この時は豊島九段が勝利しています。

豊島七段(当時24歳):
「小学6年生でこれだけ指せたら、自分の時と比べても圧倒的に強い」

 その後プロ入りを果たした藤井七冠は、デビュー29連勝など活躍を見せていましたが、豊島九段にだけは6連敗していました。

 豊島九段は2019年に将棋界最高峰「竜王」のタイトルを獲得し、誰もが豊島時代の到来かと思いました。

 ところが2021年に、藤井七冠と三つのタイトル戦で相まみえ、いずれも藤井七冠が勝ち、豊島九段は無冠に。

 2019年には豊島九段は、将来の藤井七冠との対局を楽しみにするようなコメントもしていました。

豊島九段(2019年):
「彼が5年後か10年後か分からないですけど、一番強くなるであろう時に、自分も何とか戦えるようにしたいというのはずっと思っていて。自分はあまり長く活躍したいという気持ちは少なかったんですけど、彼がいるので戦ってみたいなと」

 デビューからわずか6年で7つのタイトルを獲得した藤井七冠。豊島九段も2022年はタイトルを奪取できなかったものの、王位と王座の挑戦者となっていて、強さは健在です。

 王座戦の持ち時間は5時間。後手番の豊島九段が序盤から工夫を凝らし、藤井七冠が持ち時間を削る場面もありました。本格的な戦いはこれからで、夜に決着がつく見込みです。