新型コロナやウクライナ侵攻の影響で流通が滞り、リユース市場が思わぬ活況だ。ブームもあって、モノによっては数年前の倍の値段になっていたり、新品よりも高い値段になっているものもある。

 名古屋にある老舗「質ウエダ」で、買取査定の現場を取材した。

■客と店のギリギリの交渉…ロレックス「サブマリーナー」

「質ウエダ」は、東海地方を代表する質店で、創業60年を超える老舗だ。

【画像で見る】ロレックスが122万円で買取成立…名古屋の老舗『質ウエダ』買取査定の現場に密着 中古市場は思わぬ活況

鑑定士歴15年の浅野修さんの査定に密着した。

浅野修さん:
「ブランド品の中古需要も高まっていますし、貴金属に関してもかなり高騰しているので、積極的に買取していきたいですよね」

まずは、迷彩柄の服を着た短髪の30代男性。妻との買い物途中に立ち寄ったという。

男性が持ってきたのは、スイスの高級時計「ロレックス」だ。ロレックスを持ち込む人は増えていて、最近では新品での購入が非常に難しいため、中古でも高額が期待できると浅野さんは話す。

例えば、人気モデルの「デイトナ」。

20年前は定価80万円だったが、2022年1月には、300万円以上になっていた。現在はその頃に比べ価格は落ち着いたが、高額買取なのは変わらない。

男性が持ち込んだのは、これも人気モデルの「サブマリーナー」だ。

現在販売されているものよりも1つ古いモデルだが、20年前には約30万円で販売されていた。

30代男性:
「実は、嫁さんのお兄さんからもらったやつなんだよ。自分でも新しいの買いたいなと思って」

浅野さん:
「精度が…。機械式なので遅れたり進んだりするので、そのあたりを確認させてもらって、問題なければ高い方になります」

時計の売却で重要になってくるのが「精度」だ。ロレックスのような機械式時計は、新品でも1日の中で若干のズレが生じる。数秒のズレなら問題はないが、ズレが大きいと修理が必要になり、数万円のマイナス査定になるという。

それを調べるのが「精度計」だ。時計を置くと秒針の動きで1日あたりの「ズレ」を測ってくれる。

男性のロレックスは、誤差プラス3秒と問題なしだった。

そして浅野さんが金額を提示した。

浅野さん:
「現状だと、110とか、120万とかが…。保証書とか付属品とか揃っていての相場かなって感じですね。予想はいくらくらいでした?」

30代男性:
「もうちょっと、120、30かなぁと…」

この男性は「妻と相談したい」といい、今回は買取不成立だった。

■店側も今度こそ…次の客もまさかの「サブマリーナー」

 次にやって来た40代の男性も、ロレックスの「サブマリーナー」を持ち込んできた。

今度は買取できるよう、浅野さんは丁寧に交渉をすすめた。聞けば中古で買ったもので、製造年度は2013年。5~6年は使っているという。

浅野さん:
「もともと買われたときは、いくらくらいで買われたんですか、中古で?」

40代男性:
「はっきり覚えてないけど、60、70万円くらい。前の店で(査定を)見てもらって…」

浅野さん:
「だいたい110万から120切るくらいかなって感じが相場なのかなと思います」

40代男性:
「前に行ったお店が、120…」

浅野さん:
「高いですね、120ですか…、120…。100万行けばいいかなって思っていたところで、120万出たら」

40代男性:
「『おっ』ていう感じ。欲が出ちゃうですね。どこまでいけるのかなって」

浅野さん:
「うちは2番目に来ていただいた?もし今ここで頑張れば、お売りいただくっていうのは可能ですか?」

40代男性:
「もう1軒行ってみようかなと思ってはいるんですけど」

浅野さん:
「頑張りしだいですか…、121とか?」

40代男性:
「121なら、もう1軒回る」

浅野さん:
「ずばり逆に、いくらなら置いていっていただけるかって‥?」

40代男性:
「123って言いたいところなんですけど…」

浅野さん:
「僕の希望を言うならば、120なんですよ。間を取って122っていうのは、どうですか?」

両者沈黙のまま3分が経った。

40代男性:
「ご縁ということで…」

浅野さん:
「大丈夫ですか?じゃあ、122で」

20分以上の交渉の末、122万円で買取が成立した。

売却を決めた理由について男性は、引っ越しを控えていて、現金を必要としていたという。

■1時間前に買ってもらったエルメスのバッグを持ち込む客も

 常連という30代女性が訪れた。

持ち込んだのはオレンジの大きな袋。買ったばかりでまだ未開封だという。

慎重に浅野さんが開封すると、出てきたのは「エルメス」のガーデンパーティというモデルのバッグだ。カジュアルで使いやすさが人気のシリーズで、バーキンほどではないものの、手に入りにくく、定価は32万円。

30代女性:
「お世話になっている方に買ってもらって。同じ感じのバッグを持っているので、ま、いいかなって。買って開封もせずに持って来ちゃいました」

知人に1時間前に買ってもらったばかりのバッグだが、似た感じのバッグを持っているため、持ち込んだという。もちろん未使用品だ。

浅野さんがまず確認したのは、バックの内側に記載された刻印。

この薄く彫られた刻印のうち、一番下のアルファベットが製造された年を表していて、このバックには「U(ユー)」と表記されていた。

「U」は2022年製造のマークだ。新しいため、高価買取に期待ができる。

浅野さん:
「いま現状、オークションとかでも、26、7万で取引されていますけど…。もう気持ちよく、ずばり30」

30代女性:
「(拍手しながら)さすがです。ありがとうございます」

浅野さん:
「全力でいきました」

一発OK、30万円で買取が成立した。

30代女性:
「大満足です。うふふふ…」

2023年5月11日放送