女性の問題を本音で語る、お笑い芸人バービーさんのYouTubeチャンネルが、多くの女性の共感を集めている。

 女性にまつわる問題だけでなく、結婚してから見え方が変わったという男女の生きづらさなど、バービーさんが考える「ジェンダー問題」を聞いた。

■「色が付く」心配を抱えながら始めた「生理」についての配信 動画の再生回数は330回超え

 お笑い芸人のバービーさん(39)がいま、下着や生理、妊活や子宮頸がんなど、女性にまつわる問題をホンネで語っている。

【動画で見る】結婚を機に気付く…「男性と女性の生きづらさは表裏一体」芸人バービーが感じる“ジェンダーギャップ”とは

 2023年1月、神奈川県横浜市で生理について語るイベントに参加したのは、お笑いタレントのバービーさんだ。

バービーさん(講演):
「私はねえ、婦人科疾患のオンパレード。舞の海さんは『技のデパート』って呼ばれていましたけど、私は『婦人科疾患のデパート』みたいな感じで、もうたくさん持っているので、毎月生理との闘い。PMS(月経前症候群)もひどいので、月の半分は体調が不調」

バービーさんは3年前、自分のYouTubeチャンネル『バービーちゃんねる』で「ずっとやりたかった企画」だという生理についての動画の配信を始めた。動画では、自分が使っている生理用品の使い心地などを説明していた。

バービーさん:
「本当に必要な情報なのに、マスメディアで全く取り扱わないから、『何でなんだろう?』って思っていたのをやった感じです」

動画を始めるにあたってはスタッフにも相談したが、タレントとして『色が付く』ことを心配したという。生理や政治の話をすることについて、世間はどう受け止めるのか。

本音をさらけ出した動画の再生回数は330万回を超え、性教育の教材としても注目された。

■ジェンダーギャップにイライラした時期も…解消してくれたのは「結婚」

 北海道出身で、のびのびと育ったバービーさん。

東京の大学に入って、ある違和感を抱いた。

バービーさん:
「都会に出てきて”流行り”とか”女子大生”とか、そういったものを自分の中に取り込まないと、みんな当たりが強いな、浮いている人に対して当たり強いなっていうのは感じました。普通でいて、そこそこ可愛くてというか、そういういわゆる“若い女”みたいなものになれば、女子大生というブランドを引っ提げて『ちょこっとなんかやればお金もらえる』みたいな」

卒業後、お笑い芸人になっても、モヤモヤした気持ちが続いた。

バービーさん:
「最初の頃は、本当に“女だから”っていうことでしか笑いを取れなかったし、そういうことしかやってなかったから」

そして10年ほど前、いよいよ我慢できなくなっていた。

バービーさん:
「それが爆発し始めたのが、28歳ぐらいの時です。バラエティーの企画で、家に来た男性をおもてなししなければいけないっていう企画があったんです。おもてなしをしてランキングを付けるみたいな企画があった時に、その時ばかりはカメラが回っている前で、私は『どういうつもりなんですか!』みたいなのは、ギャグとして言っていたことはありました。『もてなす=イイ女として、点数つけるってどういうこと?』って」

女と男。ジェンダーギャップにイライラしていたバービーさん。考え方が変わるきっかけがあった。

バービーさん(YouTubeの映像):
「私、フォーリンラブ、バービー、入籍しましたのでご報告いたします」

2021年、6歳下の会社員の男性と結婚し、たまっていた“違和感”が消えた。

バービーさん:
「彼から直接、男性としての生きづらさを聞くことが増えて。男性の生きづらさと女性の生きづらさは表裏一体なんだな、というのに気付いたりしたことと、『何でこんなこと男性はするんだろう』とか思っていた部分とか、怒りに繋がっていた部分が、彼の話を聞いてみると”男性だから”ってわけじゃないんだなってことに気付いたり。女性が高らかに権利を主張しているように見えるかもしれないけど表裏一体で、女性が言っているようなことを実現できるような社会になれば、男性の肩の荷が下りるだけだと思うので」

女性も男性も、本音で語り合える社会にしたい。

バービーさん(YouTubeの映像):
「『婦人科行ってる?』『緊急避妊薬?』『はしたないあの人!』と思われてしまうことが悲しいよね」

結婚後もバービーさんは本音を発信し続けている。

■みんな言えなかった同じような悩み…下着のプロデュースでバービーさんが気付いたこと

 女性向けの下着ブランド「ピーチ・ジョン」には、バービーさんがプロデュースした下着がある。

バービーさん:
「(撮影した画像を見て)あら素敵!あ~かわいい!まぁ~すごいですね」

ピーチ・ジョン商品企画部の担当者:
「バービーさんが直接いらっしゃって『こんな下着を作りたい』っていうのでプレゼンをしてくださって、そのバービーさんのこだわりのものが私たちもけっこう心打たれて、『ぜひ』っていう形でやらせていただきました」

2017年、自らデザイン画を描いてメーカーに企画を持ち込んだバービーさん。

自分に合うサイズの下着がなく体に痕がつくなど、ずっと我慢してきた。

バービーさん(YouTubeの映像):
「日本の女性は、『巨乳だと小さく見せたい、隠したい』とか、『貧乳だと恥ずかしい』とか。コンプレックスなんて他人が見て決めるものだから、自分の体なんだから、自分の好きなブラジャー着けていいじゃないという、応援したいという気持ちを込めて」

コンセプトは“ボディーポジティブ”だ。

バービーさん:
「ちょうど下着が完成した頃に、“ボディーポジティブ”って言葉が色々と出てきて、時代と噛み合ったんだと思います。自分のためのカラダとか、あるがままのカラダを愛してもいいんじゃないっていうような風潮とか」

バービーさんと一緒にモデルを務めたのは、一般から募集した女性たち。年齢や体型、肌の色など様々な女性たちが集まった。

「苦痛な下着から解放された」。そんなメッセージがたくさん届いた。

バービーさん:
「ひとつ女性が抱えている問題だなと思ったのが、ブラの悩みさえ人に言えないってことが改めて発覚したというか。こういうことを言える場所がなかったとか、友達にも言えなかったとか、そういうようなあまり自分で話してこなかったよっていう思いを言ってくれた人がたくさんいて、『あ、なんだ、言わないだけでみんな同じような悩み抱えているんだな』というのがわかったのはびっくりしました」

■バービーさん「空気を読まずに自分の決定を大事に」

 ジェンダーギャップ指数が146か国中116位の日本。2023年5月、バービーさんは本を出した。タイトルは“「わたしはわたし」で生きていく。”

<「わたしはわたし」で生きていく。の内容>
「これまでさんざん“勘違い女”とか、“ブスだけど自信満々”なんて言われていじられてきて…」
「でも、世界がいつの間にか一変して、真面目に私の話を聞いてくれる人がいて、共感してくれる人もいる」

バービーさん:
「本当はもっと、何に関しても、ジェンダーのことじゃなくても、生理のことじゃなくても、別に空気を読まずに自分の決定を大事にしていいのになって思うときはあります。自分で何一つ自己主張していないことには、何も変わらないのかなって思うことがあります。でも、あなたの責任のもとに行動するきっかけになれたら、すごく嬉しいなっていう感覚で発信するようにしています」

2023年5月31日放送