■最大17点のリードを得るも逆転を許す痛い敗戦

12月3日、シーホース三河は琉球ゴールデンキングスに延長の末、82-84で敗れた。前日に行われた第1戦は、ライアン・リッチマンヘッドコーチが「今季のベストゲーム」と評価するように、琉球に一度もリードを許さず、93-73で快勝した。

一方、この日は序盤から琉球のインテンシティの高いディフェンスに苦しめられ、思うようにスコアが伸びない。1Qは16-11とリードして終えるものの、2Qに入るとファウルトラブルもあり、28-34と6点ビハインドで折り返す。リッチマンヘッドコーチが「自分たちのバスケットができなかった」と話すように、個人に頼ったオフェンスが見られ、前半は終始苦しい展開が続いた。

流れが変わったのは3Qに入ってから。ディフェンスリバウンドからの速い展開、ピックアンドロールを使った連携プレーなど、三河らしいプレーを取り戻し、3Q開始6分には、久保田義章の3ポイントシュートで逆転に成功。4Qに入っても勢いは止まらず、石井講祐の連続3ポイントシュート、さらにザック・オーガストの3ポイントシュートで、ゲーム最大となる17点のリードを獲得する。史上最多となる3253人が来場したウィングアリーナ刈谷は熱狂の渦に包まれた。

70-53で残り時間は5分。セーフティとはいえないまでも、勝ち切るには十分な状況だった。しかし、ここからオフェンスが停滞し、決めるべきショットがなかなか決まらない。残り21秒で琉球の今村佳太に3ポイントシュートを許して72-72の同点にされてしまう。

ゲームのテンポや攻撃の選択肢を担うポイントガードとしてプレーする久保田は、おそらく誰よりも悔しいに違いない。
「(西田)優大がハンドラーとしてプレーするのが自分たちの強みですけど、自分がワンクッションを作ったり、ディフェンスを収縮させてシューターに打たせたりするなど、終盤のゲームコントロールで反省しています」

17点を追いつかれての延長となり、精神的に苦しいのは三河のほう。延長に入ってビハインドが続く中、残り12秒で西田が値千金の3ポイントシュートを決めて82-82の同点に。しかし、またもや今村に劇的なシュートを許し、82-84で敗戦となった。今日のゲームに限っては、三河の「気の緩み」というよりも素晴らしいプレーを見せた琉球を褒めるべきかもしれない。



■リッチマンヘッドコーチ「チームが進んでいる方向は間違っていない」

同じ1敗でも今日のダメージは相当に大きい。試合後、リッチマンヘッドコーチは「本当に悔しく、苦しい思いでいっぱい」と悔しさを隠さない。「ただ、自分たちの進んでいる道を信じることができたと思います。成長していく過程には、良いときばかりではなく悪いときもあるので、この悔しさ、苦しみから逃げずに見つめ直して学んでいきたい」と振り返る。

久保田も同様に、「手応えを掴めた」と悔しさを押し殺して前を向く。
「バイウィーク前は(プレーの意思疎通で)バラバラなところがありましたが、いい練習ができましたし、一体感も生まれてきたと思います。琉球を相手に(12月2日の第1戦は)ここまでのシーズンでベストの試合ができましたし、自分たちが準備してきたものを全部出すことができれば、絶対にどこのチームにも負けないと思っています。強い三河を取り戻せるはず」

ちなみにバイウィークでは、選手やスタッフに10日ほどの休暇が与えられたそう。久保田は「(シーズン中にこれほど長い休暇は)Bリーガーになってから記憶にない」と話し、リフレッシュも大切と考えるのがリッチマン流なのだろう。もちろん、休暇後はハードな練習を行い、綿密に準備して琉球戦に臨んだ。その結果が「一体感」であり「手応え」につながっている。

王者琉球との2試合で掴んだ確かな手応え。大きな痛みを伴ったが、この経験はきっと今後に生きてくるはずだ。

シーホース三河 82-84 琉球ゴールデンキングス
三河|16|12|22|22|10|=82
琉球|11|23|10|28|12|=84