三重県鳥羽市の寺で2023年8月、江戸時代に作られたとされる木彫りの像が盗まれているのが見つかりました。防犯カメラには、不審な男が本堂を物色する様子が残されていました。

 鳥羽市の光日山観音寺(こうにちざんかんのんじ)で2023年8月10日の夜、事件は本堂で起きました。

 誰もいない本堂に入ってきた1人の人物です。土足のままコソコソと物色を続けます。

【動画で見る】 土足で侵入する男が映像に…寺の本堂から江戸時代に作られた『摩利支天像』盗難か 住職「数千万円かも」

 すると、画面の奥の方へ。そこに置かれていた物は…。

光日山観音寺の住職:
「8月12日ですね、お盆前にここに準備に来たんです。それでおかしいと思って『あっ、摩利支天(まりしてん)がない』と思ったんです。ここですね、ここいっぱいに摩利支天像があった」

 住職によると、そこにあったのは高さ60cmほどの木彫りの像。およそ250年前、江戸時代に作られた物だといいます。

 物色を続けることおよそ1時間、勝手口から箱のようなものを運び出しました。厨司(ずし)と呼ばれる、仏像を入れる専用の箱とみられます。車を横づけすると、トランクに詰め込んで走り去りました。

 この時に無くなったという仏像は、住職によるととても貴重な物だということです。

光日山観音寺の住職:
「なかなか木造の摩利支天というのは少ないんです。今作ったら最低でも1000万円はするでしょうね。下手したら数千万円と言われるかも分かりません」

 被害はこの日だけではありませんでした。仏像がなくなる6日前の8月4日、本堂に置かれていた賽銭箱をひっくり返す人物が。中に入っていた現金5000円ほどがなくなっていたといいます。

 10日の映像と比べると、歩き方や服装がよく似ているように見えます。

光日山観音寺の住職:
「賽銭盗って、その時に何かこう、仏像を(狙おう)と思ったんじゃないかと思うんです。こういう人が捕まらずに、世の中に生きていくというのが許せないということが1つです。それと、やっぱりみんなが拝んできたものですから、なんとかもう1回ここに戻ってほしい」

 寺から被害届を受理した警察は、映像に映る人物が仏像を盗み去った可能性があるとみて調べています。