名古屋地裁で、自分の子どもに夜通し正座を強要するなどの罪に問われている母親と、高校の同級生だった女の裁判が、2023年10月から行われている。

 12月7日と8日には被告人質問が行われ、2人の歪んだ関係と異常な“しつけ”の実態が明らかになった。

■母親の“異常なしつけ”と指示した女

 2023年4月から6月頃、小学生の子どもに夜通し正座をさせたなどとして、子どもの母親と、高校の同級生の女が8月、強要の罪で起訴された。

裁判は、被害者が子どもであることなどから当事者の名前や年齢などは伏せられた状態で開かれている。

2人は、子どもが正座をする様子をスマートフォンで撮影し、姿勢を崩すと頭を叩くなどの暴行を加えたとされ、10月の初公判では2人とも起訴内容を認めた。

冒頭陳述で検察側は「(同級生の)女はSNSの通話機能を繋いだ状態にし『子どもを注意する際にはもっと厳しく言うように』などとメッセージを送って母親に指示を出していた」「2人は子どもを夜通し正座をさせ、学校に行かせないなどしていた」と犯行状況を説明していた。

■母親「想像できない怖さあった」…子どもを正座させ撮影し暴行も

 そして、12月7日と8日に行われた被告人質問では、母親と同級生の女の”歪んだ関係”が明らかになった。

母親は2年ほど前から仕事中と実家のいる時以外は、電話を繋いでおくよう女から指示されたという。

その後、女の自宅で子どもと母親が泊まるようになると、女からの指示は異常さを増していった。

母親:
「『監視カメラがあるように子どもに嘘を言え』と言われ、子どもが『カメラなんかないじゃん』と言ったら、(知人の女が)『実際にやろう』と言いました」

女の指示で、母親は子どもを正座させてその様子をスマホで撮影し、姿勢を崩すと頭を叩くなどの暴行を加えたという。

女に逆らえなかった理由について母親は「何をするのか分からない、想像できない怖さがありました」と打ち明けた。

■母親は女の主張に首を振り続ける

 しかし、女は母親との上下関係を否定し、“異常なしつけ”をした動機について説明した。

女:
「子どもが『家族より学校』と言うから、私は学校よりも家族とわからせるため」

その後「とても怖い思いをさせ、心に深いキズを負わせてしまい申し訳なかった」と反省の言葉を述べたが、母親は「子供をかばって女を怒らせるのが怖かった」「当時は自分を守ることでいっぱいいっぱいだった」と語り、法廷では、女の主張について、首を横に振り続けていた。

高校の同級生同士の間起きた異常な虐待。次の裁判は12月25日に開かれ、結審する予定だ。