上位対決にふさわしいハイレベルな三河ダービー

12月20日、シーホース三河は三遠ネオフェニックスとの三河ダービーに臨み、94-87で勝利。ライアン・リッチマンヘッドコーチが「チーム全体で勝ち取った素晴らしい勝利。ゲームプランを忠実に遂行してくれた」と振り返る快勝で、チームはシーズン最長の6連勝を記録した。

中地区首位の三遠は、攻守の切り替えが速いトランジションオフェンスを得意とするチームで、平均得点はリーグトップ。オフェンスリバウンドも強く、攻撃回数を増やすことで大量得点を生み出している。

直近3試合すべてで100点ゲームを記録している超攻撃型の相手に対して、三河のポイントは、三遠が得意とする速いテンポを「どうやって落ち着かせるか」だった。今日のゲームについて、石井講祐は「ゲームプランを遂行できた」と振り返る。

「日曜日の試合から時間がない中、要点を絞ってゲームプランを用意し、最初からある程度遂行できたと思います。それでもやられる部分が多くて反省点はありますけど、フィジカルで戦ったり、ルーズボールを狙ったりして、トータル的に見るとよく我慢できました。そういう部分が勝利につながったのだと思います」

1Qと2Qは両チームともトランジションオフェンスを展開し、点の取り合いとなる。前半終了時で56-46のハイスコアゲーム。前半のターンオーバーは三河が3、三遠が4と少なく、「お互いのディフェンスが緩かったわけではないです。非常に引き締まったゲームで、ファンは面白かったのでは」と石井。

「僕たちも速い展開というのはシーズン前から取り組んできたこと。トランジションで攻められた後は、トランジションで攻めるチャンスでもあります。でも、三河にはダバンテ(・ガードナー)選手などハーフコートバスケットで力を発揮できる選手もいます。今日のゲームは、うまくバランスを取りながらオフェンスを組み立てることができたと思います」


石井講祐「勝って反省すること。連勝中こそ練習から厳しくやらないと」

石井には、リバウンドやルーズボールなど、どちらのものになるか分からないフィフティーフィフティーのボールに強い印象がある。このゲームでは、スコアこそ7得点だったが、チームトップのオフェンスリバウンドとスティールを記録。ルーズボールにもよく絡んだ。特に光ったのが積極的なリバウンドへの参加。そこには狙いがあった。

「オフェンスリバウンドに絡むことで、少しでも三遠のテンポを遅らせようと考えていました。その部分で手応えはありましたし、流れを自分たちのほうに引き寄せられたイメージがあります」

相手のやりたいことをやらせない狙いがハマり、三河にとって苦しい時間帯はあったものの、後半に入ると徐々にゲームのテンポは落ち着いていった。ファンも石井の気迫あふれるプレーをしっかりと見ており、バスケットLIVEで最も応援FIREを得た「ON FIRE賞」を獲得した。三河ダービーを制した立役者の1人といってもいいだろう。

これで今シーズン最長の6連勝。石井は千葉ジェッツやサンロッカーズ渋谷に在籍時、地区優勝や天皇杯優勝など、数々のタイトルを手にしてきた。今の三河には数少ない「勝ち癖」を知る1人といえる。このまま勝ちを重ねていくには何が必要なのか。石井は「勝つために必要なのは、用意したゲームプランを忠実に遂行すること。そのために大切なのが練習です」と話す。

「練習がすべてだと思います。そして、勝って反省すること。試合ではうまくいかないことのほうが多いです。今日のゲームも100%の内容ではないですし、いい状況になっても、そこからさらに厳しく、細かいところにこだわっていくことですね。そうするとチャンピオンを狙えるチームとして自信がついてくると思います」

紅白戦では、ベンチスタートの選手が「スタメンを倒すぞ」と声を掛け合い、激しくやり合っているそう。お互いに要求することは要求して、切磋琢磨する。それがチーム力の底上げにつながっている。年内は残り4試合。「自分たちのゲームプランを遂行できれば10連勝できると思います」と石井。勝って兜の緒を締める男が、チームに勝ち癖をつけていく。

シーホース三河 94-87 三遠ネオフェニックス
三河|19|37|20|18|=94
三遠|23|23|25|16|=87