市川海老蔵改め十三代目・市川團十郎白猿さんと、長男の八代目・市川新之助さんが2024年2月、御園座で襲名披露公演を行いました。

團十郎さん:
「皆さまお久しぶりでございます。まだ皆さん海老蔵だと思っていると思いますが、今回、團十郎になることになりました」

 1月28日、名古屋御園座に登場したのは、市川海老蔵改め、十三代目市川團十郎白猿(だんじゅうろうはくえん)さん。親子で臨む初舞台を前に、挨拶しました。

團十郎さん:
「若い時に様々な歌舞伎俳優の先輩たちに連れてこられて勉強させていただいたり、北島三郎さんのような大スターが舞台をやっているところを見て感動して刺激を受けたりして、私はどこか名古屋に育てていただいたんじゃないかなと思っているところがございます」

 そして現在10歳、長男の勸玄(かんげん)さん。

新之助さん:
「お寒い中お集まりいただき、ありがとうございます。私は御園座で初めて出演させていただきますので、昼の部は僕が外郎売(ういろううり)を務めさせていただくので、ぜひ見に来てください。お願いいたします」

 勸玄さんは2022年10月に八代目市川新之助を襲名し、歌舞伎役者として一歩を踏み出しました。

 今回の「二月御園座大歌舞伎」は、親子揃って市川家の大切な名跡(みょうせき)の襲名を報告する特別な舞台になります。

團十郎さん:
「現行の外郎売は、父・十二代目市川團十郎が作り上げたものです。それを私も受け継ぎ、それをまたせがれがやるというなかで、これは歌舞伎の中のロマンというかドラマというか、そういうところに私は心打たれるな」

 外郎売(ういろううり)は、歌舞伎十八番のうち成田屋のお家芸。團十郎さんも初舞台を踏んだ1985年に父と共に演じた、思い入れのある演目です。

 2月1日、親子の襲名披露を迎えました。夜は歌舞伎十八番屈指の人気作「勧進帳(かんじんちょう)」。團十郎さんは豪快で迫力のある弁慶を演じます。

 そして歌舞伎役者、八代目・市川新之助の御園座初舞台です。

新之助さん:
「市川新之助にござりまする」

 祖父が作り上げ、父が磨いて受け継いだ外郎売で、3分半にわたる早口の長台詞をよどみなく披露しました。

客:
「すごくお稽古されているなというのが分かるし、頑張ってるなというのが分かって、すごくよかったです」

別の客:
「もう感動しました。こうやって脈々と市川家がつながっていくんだなというのを、その瞬間に見ることできてとっても幸せでした」

新之助さん:
「うれしいです。こういうきれいな劇場に来られて」

團十郎さん:
「昔は汚かったんだ、ここも汚かった。でも楽しかった、前の御園座は。地下に入ると喫茶店とか色々なお店があって、その地下の地下の地下におでん屋さんがあって、そこで稽古してたんだ。僕なんかはやっぱり前の御園座が好きでね。彼らの時代は、ここが彼(新之助)の御園座ですし。彼も外郎売を磨き上げてきているので、今回は集大成になってくるのではないかなと思うので」

 二月御園座大歌舞伎は2月17日までです。