愛知県東郷町の井俣憲治町長を巡り、第三者委員会は4月22日、職員へのパワハラ・セクハラ行為を認める報告書を公表しました。政治家はなぜ、パワハラ発言を繰り返すのでしょうか。

 東郷町の井俣憲治町長(57)を巡っては、町の第三者委員会の調査報告書で、「お前らの脳みそは鳩の脳みそより小さい」「三流大学以下」「死ね」「春木川に落ちて、流れて行ってしまえ」など、職員への複数の言動がハラスメント行為と認定されました。

井俣憲治東郷町長(23日朝):
「(報告書は)一通り目は通させていただきました。(Q.どう思われましたか?)その辺も含めて、全員協議会の後の会見でお話をさせていただきたいと思います」

 さらに、これから手術をする女性に対して「いつ巨乳になって帰ってくるの?」とのセクハラ発言もあり、調査報告書をまとめた第三者委員会は23日、会見を開きました。

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第三者委員会の堀龍之委員長:
「これだけ長い期間にわたって、明らかに違法と言えるものも含めて、パワーハラスメントを中心としたハラスメント行為が繰り返されてきたことに、私は驚きました。ハラスメントが大きな原因で退職された方がいると考えています。それから、降格になった方も同様にいると」

 井俣町長はこのような発言をした理由について、23年11月の記者会見で次のように話していました。

井俣憲治東郷町長(2023年11月):
「当時の認識として、私の不認識の至りでありますけれども、お笑い的な物言いの中で、それを無配慮に使ってしまった」

 今回の調査に対して井俣町長は「口調は柔らかいし、同席した皆が笑っていた」「冗談のつもりであった」と答えたといい、報告書には「職員が嫌がっていると感じることもなかった」とも書かれていました。

 政治家のパワハラ発言を巡っては、自民党の長谷川岳(はせがわ・がく)参議院議員の自治体職員らへの威圧的言動が問題となっています。

自民党の長谷川岳参院議員:
「全く無自覚の中でやってきたことに対して、本当に反省をしていかなければなりません」

 長谷川議員は愛知県春日井市の出身ですが、威圧的言動の理由について「名古屋弁だから」とも説明しました。

自民党の長谷川岳参院議員:
「名古屋弁だからどうしても、ダメでしょって言ったときに、どうとられるかというのはあると思います」

 東郷町の井俣町長は、25日にも会見を開き、自身の進退などについて説明する考えを示していますが、町民からは厳しい声が相次いでいます。

30代女性:
「ハラスメントの事実はちょっといただけないですよね。正しく説明して謝罪していただければ」

30代男性:
「ああいうことがある町長は、町民としても恥ずかしいかなとは思いますね」

80代女性:
「言い逃れというか、見苦しいですよ。町政に響くようなことがあってはいかんですわね」

 政治家はなぜ「無配慮」のまま、パワハラ発言を繰り返すのでしょうか。

 ジャーナリストの鈴木哲夫さんは、「政治はある種の権威・権力の社会。権力が集中していくため、頂点にいる人は勘違いしてしまう。政治・行政がそういう社会になっている」と指摘しました。

 女性への差別発言については、「女性議員も上の男性議員に対して『先生…』と呼ぶ。ただ、こうしないと自民党の中では上にいけないという事情もある。こういった背景からも差別発言につながっている」とも話しました。