
愛知県一宮市のオムライス専門店「ビィビィアン」は、名古屋コーチンの卵を使った“ふわとろ”の一皿が人気の店です。急逝した夫の味を受け継ぎ、激戦区で店を守り続ける女性店主と、常連に愛される絶品オムライスの魅力に迫ります。
■ふわとろオムライスの人気店 創業31年のオムライス専門店「ビィビィアン」。客の多くが口をそろえて「ふわとろ」と表現するのが、この店のオムライスです。
【動画で見る】2号店準備中に38歳で急逝…亡き夫の味を守り続けるオムライス専門店 “唯一無二のふわとろ”で激戦区生き抜く

客:
「このとろとろ感は、唯一無二です」
別の客:
「卵のとろとろ加減が尋常でない。他に類を見ないです」
厨房で腕を振るうのは、オーナーシェフの平坂千恵美さん(60)。卵の価格が高騰する中でも、名古屋コーチンの卵を贅沢に約3個分使っています。

朝一番の仕込みは、名古屋コーチンの卵液づくりから。生クリームを加えてよくかき混ぜ、さらに漉し器にかけます。
平坂さん:
「なめらかさがほしいので、少し裏ごししています」
使っている卵は、隣町の養鶏場から直接仕入れています。ふわとろ食感を引き出すため、焼き上げるタイミングも重要です。
平坂さん:
「もたもたしていると卵が固くなってしまうので、一気に火力を強くして仕上げます」
約20種類揃うメニューの中でも人気なのが、茹でたじゃがいもの上にマヨネーズとチーズをたっぷりのせ、ケチャップライスで包み込んだ「ベーコン&じゃがマヨチーズ」(サラダ・ドリンク付き1280円)。

客:
「卵がふわふわで、じゃがいもすごくホクホク」
そんな平坂さんは、常連さんの顔を見るなり、注文を聞く前から調理を始めました。
平坂さん:
「いつも来てくれるので、カズくんのは特別多くしてあげないと」
バターライスにふわとろ卵をのせ、120グラムの牛カルビ焼肉をトッピング。さらにバーナーで炙って香ばしさを加えた「牛カルビ焼肉」(サラダ・スープ・ドリンク・アイス付き1640円)。

カズくん:
「ふわっとしていて、味も濃厚です」
そのカズくんは、いつも83歳の祖父と一緒に来店。向かい合ってオムライスを味わう2人の姿が印象的です。
■激戦区で生き残るための工夫 こちらの常連客が取り出したのはサービス券。2種類の具材が選べるランチタイム限定「クーポンセット」(フレンチトースト・サラダ・ドリンク付き1100円)です。
客:
「来るとクーポンもらえるから、また来ようって思う」
一度来店すると、その後もずっとクーポンがもらえる仕組み。まさに“無限クーポン”です。
一方、こちらの家族が持ってきたのは「バースデープレゼント」のはがき。はちみつとアイスクリームがのったフレンチトーストが無料でプレゼントされます。

父親:
「誕生日に毎年、記念で来ています」
この家族は、娘が赤ちゃんの頃から、店先で記念写真を撮ることが恒例になっているそうです。こうしたお得なサービスを充実させたのには、理由がありました。
平坂さん:
「やはり来ていただかないと話にならない。とにかく来ていただくことが大事」
実はこの地域には、オムライスを提供する店が多く、激戦区になっています。

モーニング文化で知られる一宮市では、喫茶店と相性の良い洋食メニューのオムライスが受け入れられやすい土壌があります。さらに、この一帯は古くから養鶏業が盛んで、新鮮な卵が手に入りやすいことも理由の一つといいます。
生き残るための秘策は、クーポンだけではありません。
平坂さん:
「本日は名古屋コーチンの生卵プレゼントをやっています。中にクーポンも入っています」
名古屋コーチンの卵を無料でプレゼント。これを目当てに訪れる常連客も多いそうです。

客:
「卵は木曜日だけ付く」
別の客:
「卵もらえる。タマゴの日だから」
毎週木曜日は「タマゴの日」。800円以上の食事をした客に、ランチタイムは2個、ディナータイムは3個の卵をプレゼントしています。
■亡き夫の味を守る店主「ビィビィアン」は1995年にオープン。一流ホテルのシェフだった夫・平坂忠さんが、当時はまだ珍しかったふわとろオムライスを提供すると、たちまち行列ができる人気店になりました。2号店の準備も進んでいましたが…。
平坂さん:
「急性心筋梗塞でした。カテーテルの手術もうまくいかなくて」
忠さんは38歳という若さで帰らぬ人に。

平坂さん:
「ビィビィアンの肝はソースなので…」
味を守るため、真っ先に取り掛かったのが、ご主人自慢のデミグラスソースでした。牛バラ肉を焦げ目がつくまで焼いて旨味を閉じ込め、玉ねぎやニンジンとともに寸胴鍋で煮込み、最後に赤ワインなどを加えて6時間。こうして秘伝のソースが完成します。
客:
「デミグラスソースがおいしい」
別の客:
「この辺りでナンバー1のオムライスだと思っています」

平坂さんは、亡き夫の味を受け継ぎ、オムライス激戦区で奮闘しています。
平坂さん:
「これからも主人の味を継続して、みなさんに提供できるようにやっていきたい」
亡き夫から受け継いだ味を胸に、平坂さんは今日もふわとろオムライスを作り続けます。
2026年3月4日放送