豊川用水の宇連ダムが枯渇するなど、愛知県の東三河地方では深刻な水不足が続いています。豊橋市の消防では、訓練での水使用を中止したほか、防火服の洗浄に雨水を利用するなどしていて、最悪の事態「断水」回避に向けた対応が続いています。

■大村知事「1カ月持たない」21年ぶりの渇水対策本部

 豊川用水の水がめの1つ・宇連ダムは既に枯渇し、全体の貯水率もわずか6.5%しかありません。

【動画で見る】消防は放水訓練で水を使えない事態に…愛知県の豊川用水の貯水率“6.5%”

 愛知県は24日、21年ぶりに渇水対策本部を設置しました。さらなる節水対策や、今後の状況によっては給水車を配置することなどを確認しました。

大村愛知県知事:
「極めて厳しい状況でございます。この状況でいきますと1カ月もたない」

■防火服の汚れは“雨水”で…消防の現場にも水不足の影響

 水不足の影響は、命を守る現場にも及んでいます。

 豊橋市内の消防署では、1月下旬から放水訓練で水を使っていません。2月に節水率が強化されてからは、溜めていた雨水を使い、火災現場で使った防火服や器具などの汚れを落としています。

 さらに、下水処理施設で処理された水を、消火に使う水として有効活用しています。

 豊橋市では、上下水道局や民間企業など7つの事業者の協力で、井戸水や下水を処理した水を確保しています。3月14日に市内で発生した山火事の消火活動には、こうした処理水なども使われました。

豊橋市消防本部予防課の課長補佐:
「非常に空気が乾燥して雨が少ない時期ですので火事が多い。川の水とかいろんなところを有効活用して、なるべく水道水を使わないよう意識して活動しております」

 現在、豊川用水を利用する豊橋市など5つの市では、夜間の水道の使用を自粛するよう呼び掛けています。さらに状況が悪化した場合の最悪の事態が「断水」です。

大村愛知県知事:
「一番最悪の事態は飲み水、上水道が時間断水のようなかたちになるんでしょうけど、それはなんとしてでも避けたい」

■“ヤカン”でシャンプーを流す…1994年の「記録的渇水」

 32年前の1994年夏は、全国的に記録的な渇水となり、知多半島などでは最長19時間の断水が行われました。

 理髪店では、シャワーではなく“ヤカン”に水を入れてシャンプーを流すことも。稲刈り前の田んぼは水不足によって干上がってしまい、収穫量は激減しました。

米農家(1994年当時):
「自分の子を見殺しにしたみたいな気持ちです」

 他にも、工場が操業を短縮したことなどによる被害は、愛知県だけでおよそ300億円にものぼりました。

 暮らしにも経済にも大きな打撃を与える水不足。最悪の事態を避けるため、懸命のやりくりが続きます。

■水不足の解消に“次の一手”は…

 豊川用水は、豊橋市や田原市など愛知県内の5つの市と、静岡県の湖西市に水を供給しています。

 しかし、水源の宇連ダムはすでに枯渇。もう1つの大島ダムも貯水率5.8%となっていて、ほとんど水がありません。

 愛知県は、静岡県の「佐久間ダム」から水を分けてもらうことも検討しているということです。ただ、佐久間ダムの貯水率は39.8%で余裕があるように見えますが、平年の6割程度しか水がありません。

 東海地方では、三重県の北部に水を供給する三重用水でも、主な水源の中里ダムの貯水率が30.4%となっていて、現在10%の節水が行われています。