“稲田の乱”抗議の真意は…再審制度見直しで検察の抗告禁止訴える稲田議員を直撃「自民と法務省の意識にギャップ」


 判決が確定した刑事裁判をやり直す『再審』制度の見直しで、議論が紛糾している。検察の「抗告禁止」を求める議員側の声が無視されているとして、法務省に猛抗議する自民党の稲田朋美衆院議員に、その真意について話を聞いた。

■ネットで拡散され注目…稲田議員「1ミリも聞かない!」

「再審見直し」をめぐる問題が注目されるキッカケは、4月7日の稲田朋美議員の発言だ。

稲田朋美衆院議員(4月7日):
「マスコミが出た後、何も1ミリも私たちの言うことを聞かないじゃないですか。ほとんどの議員が抗告禁止って言っているにもかかわらず、これをまったく無視している」

“法務省が自民党議員の声を1ミリも聞かない”と大声で怒りの訴えをしたのは、弁護士でもある稲田朋美(いなだ・ともみ)衆議院議員だ。ネットではこの様子が拡散され、“稲田の乱”と呼ばれて話題となった。

【動画で見る】再審制度見直しで検察の抗告禁止訴える稲田議員を直撃

異例の抗議の真意は…。4月14日、ジャーナリストの鈴木哲夫氏とともに、稲田衆院議員に話を聞いた。

鈴木哲夫氏:
「衝撃というか、僕に言わせると、やっとやってくれたなと。あれはタイミングを狙っていた?」

稲田朋美衆院議員:
「タイミングは狙っていないですね。ですけど、抗告の議論の盛り上がりがすごくあって、『抗告禁止すべきだ』って、発言した全ての議員が言っているにもかかわらず、そこはスルーして次の証拠開示にいくという日だった。ずっと言い続けてきているのに、マスコミがいない場になった途端に、みんなが言っていることを全く無視して次の論点にいくのはおかしい」

静岡県で一家4人が死亡した強盗殺人事件では、袴田巌(はかまだ・いわお)さんが冤罪被害者となった。事件発生から無罪確定まで「58年」の歳月がかかっている。

『袴田事件』をめぐっては、捜査機関が5点の衣類について証拠を捏造した可能性が指摘され、さらに検察が「抗告」したことで審理が長引き、再審開始まで9年もかかった。

しかし、法務省側は「再審制度」の改革で、「抗告」の維持を提示している。

稲田朋美衆院議員:
「実際の弁護士、携わってきた実務家がものすごく悔しい思いをしていると思う。『(証拠を)出してくれ!出してくれ!』って言っているのに何十年も、袴田事件は『5点の衣類とネガを出してくれ』と弁護人が言ってから20年かかっている。すごく悔しい思いをしていますよね。何回も抗告されてひっくり返るという、悔しい思いをしているので」

検察の「抗告」で、無実の人が長期間にわたって再審を余儀なくされている。

稲田朋美衆院議員:
「自民党で発言している人は、全員が『抗告を禁止すべき』と言っているわけです。法務省は『禁止はダメ。抗告が必要だ』と言っている。この埋められない溝は、結局は立法事実が何かということ」

■稲田議員「最大の人権侵害だし、正義に反している」

 袴田事件と同様の事案は、福井でもあった。1986年に福井市で起きた女子中学生殺人事件では、逮捕された前川彰司(当時21)さんが殺人容疑で逮捕され、一貫して無罪を訴えたものの、服役。

2011年に1回目の再審が決定されたものの、検察の「抗告」で見直され、再度の請求で実際に再審が開始されたのは、13年後の2024年だった。冤罪をはらすため、38年を費やしている。

再審で明らかになったのは、捜査機関の嘘の供述の誘導や証拠隠しだった。

前川彰司さん(2025年):
「多くの犠牲を払ったなという思いがある。一度冤罪というやり玉に挙げられた者としては、終わることのないものがあると」

稲田朋美衆院議員:
「(前川さんは)20歳の青年が60歳。人生丸ごとこれで奪われて、福井だと今更『無罪』と言われても、みんな『殺人犯だ』とずっと思ってきたわけです。被害者も中学生が殺されて、姉は『早く真犯人を見つけてほしかった』って。みんなを不幸にしているわけですよね。最大の人権侵害だし、正義に反している」

請求があっても、再審の開始が認められるのはわずか1%。まさに“開かずの扉”だ。

稲田朋美衆院議員:
「私達は、誤った有罪判決で冤罪被害にあっている人をどうやったら早く救済できるか、ということからこの改正をやろうと思っているんですけど、(法務省は)その意識が非常に少ない。そうではなくて『いま再審法の規定がないので作りましょう』くらいの感覚でしかないので、そこにすごくギャップを感じます」

2026年4月21日放送

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