総事業費約700億円とも…世界最大級のアトランティックサーモン陸上養殖施設 27年末頃からの出荷目指し建設進む

不動の人気を誇る「サーモン」の価格が、中東情勢の悪化に伴う輸送コストの高騰により上昇しています。こうした中、三重県津市で世界最大級の「陸上養殖施設」の建設が進んでいます。安定供給と鮮度維持を両立させ、輸入頼みからの脱却を目指せるのでしょうか。
■大人気のサーモンに異変…中東情勢などで価格高騰
老若男女に愛され、回転寿司の人気メニューランキングで15年連続1位を誇るサーモン。(※Umios調べ)
回転すしまんまん 中田さん:
「アトランティックサーモン。日本で出回っているのは、ヨーロッパ産が6~7割ぐらい占めているんじゃない?日本人の舌に合うというか、好み」
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最近、その価格に異変が起きています。
回転すしまんまん 中田さん:
「仕入れ値に反映されるのは、空輸の油代。どこかで紛争とかがあって飛行機の燃料費が上がると、その時にボーンと跳ね上がる。10~15年前のことを思うと1.5倍ぐらいになっている」
中東情勢の悪化で、飛行機の燃料費が高騰。さらに、これまでは中東を経由して空輸されていましたが、別ルートを通るようになって輸送コストがさらに高騰しました。
回転すしまんまん 中田さん:
「(15年前は)1キロで大体1000円だったね。今は同じもので1キロ1500~1700円、それぐらいの違いになってきている」
■安定生産が可能に…サーモンを“陸上養殖”
サーモン市場のピンチを救う存在になるかもしれない施設が、三重県津市で動き始めました。
およそ14万平方mの広大な敷地に建設中なのが、ピュアサーモンジャパンが手掛ける世界最大級のアトランティックサーモンの陸上養殖施設です。

エロル・エメド社長:
「日本のサーモン業界に関しても、非常な大きなマイルストーン(節目)になっています。魚卵を受け入れるような状態まできていて、魚の養殖が事実上始まる」
着工から3年。5月7日にアイスランドからサーモンの卵が届き、いよいよ本格的な陸上養殖が始まりました。

エロル・エメド社長:
「鮮度が必要とされるアトランティックサーモン、100%輸入しているものを、なんとかわれわれが国内で提供したい。においもしない、脂もしっかり乗っているわけですから、今まで経験したことがない良さ・味を、ぜひわれわれが提供したいと思っています」
さらにこの施設のポイントは、産業用水を濾過して再利用する「閉鎖循環式」というシステムです。海水ではなく人工海水を使用します。

陸上養殖に詳しい三重大学の常教授は…。
三重大学の常清秀教授:
「今までの陸上養殖は、なるべく海に近い所でやっています。そうすると海水も利用できる。今回、完全に陸上でやることは非常に新しいチャレンジですし、画期的で非常に期待できる。まず一つ、安定生産が可能です。閉鎖循環式陸上養殖なので、外と遮断しています。そうすると自然界の影響、赤潮や台風などの影響を一切受けずに済みますので、完全に人間のコントロール下で品質管理ができるという意味では、高品質なものを期待できる」
自然環境などに左右されず、水温や水質を人間が管理することで、高品質なサーモンを安定して生産することができると言います。一方で懸念も…。
三重大学の常清秀教授:
「やっぱりコストが高いです。イニシャルコストとランニングコスト、2つとも結構高いです。ランニングコストは電力やエサ代などですね。養殖の6~7割はエサ代にあたりますので、そのあたりは工夫は可能だと思います」

総事業費およそ700億円とされる津市の陸上養殖施設。気になる販売価格は…。
エロル・エメド社長:
「ソーラーパネルで年間700万kWhぐらいの電力を作れるかなと。魚の死亡率が低いということで、コストが下がります。市場で販売されているサーモンより高くしないのが一番の目的です」
この施設は2027年末頃からの出荷を目指し、最終的には加工までを行って年間1万トンを生産するとしています。

