名古屋の町中華の味を飛騨へ…独立目指し新たな一歩を踏み出した若き料理人 新天地で数々の壁に挑む夫婦の奮闘

2025年2月。名古屋駅前の名鉄百貨店が閉店したその日、1人の料理人が新たな一歩を踏み出しました。飛騨高山での独立を目指し、数々の壁に挑む若き夫婦の奮闘に密着しました。
■若き料理長の看板メニュー“麻婆豆腐”
名古屋駅の地下街にある「名北飯店 サンロード店」。料理長の三上耕二さん(34)は、オープン以来、その腕を見込まれて料理長を務めてきました。
耕二さん:
「店に入った頃は、料理について何もわからない素人でした」
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今ではすっかり板についた鍋さばき。中でも一番の自慢が「麻婆豆腐」です。黒大豆を発酵・乾燥させた中国の伝統的調味料“トウチ”を使い、細かく刻んだニンニクの芽や椎茸、タケノコを加えて炒め、豆腐に絡めた店の看板メニューです。
客:
「具材の歯応えがよくて、おいしいです」
別の客:
「もう全てにおいてベストです」

耕二さんは、この麻婆豆腐を看板商品にした自分の店を開きたいと考えていました。
耕二さん:
「チャレンジできるのは今しかない。ここを逃したら、開業するという人生はきっとなくなると思う」
■家族とともに挑む独立
耕二さんの実家は、名古屋市守山区で60年以上続く中華料理店です。

母・智恵美さん:
「やりたいことは最後まで貫く意志がある子だと思います」
3年前に妻・志歩さんと結婚し、子どもも生まれたことで、「自分の店を持ちたい」という夢が芽生えました。
父・洋輝さん:
「悪く考えても良く考えても、やることは同じなので、やってみればいい」

耕二さんが将来の看板メニューにしたいと考えている、もう一品が実家のチャーハンです。
耕二さん:
「あっさりした中にも深みがある」
豚のスジ肉を煮て柔らかくし、細かく刻んだチャーシューが決め手。大人から子どもまで親しまれている味です。

修業先の麻婆豆腐と、実家のチャーハンを武器に新天地で勝負。場所は飛騨高山です。
■開業に立ちはだかる現実
出勤最終日の2026年2月28日。
師匠:
「これまで頑張ってやってくれた。ここまで辿り着いたのは、彼の努力だと思います」

たくさんの職場の仲間たちに見送られ、店を後にした耕二さん。もう引き返すことはできません。
しかし、送別会の後に立ち寄った実家で、思いがけない事実が待っていました。
耕二さん:
「銀行から『結局はつぶれた店だから。負の連鎖と言われている』と…」
1年前から目星をつけていた高山の店舗について、銀行から融資ができないと断られたのです。

耕二さん:
「名古屋みたいに居抜き物件はないです。全部揃っている旅館の中古物件はあるけど、そういうのしかない」
果たして夢の実現は。
■桁違いに増える開店資金
耕二さんは春から、岐阜県下呂市にある妻・志歩さんの実家に移り住み、新生活をスタートさせました。一級建築士である義理の父・広岡隆陸さんが、お店の図面作りをサポートしてくれています。

しかし、新天地で待っていたのは厳しい現実でした。新店舗の仮契約のために訪れた不動産会社では。
不動産会社の担当者:
「賃料が、22万円必要になります」
当初予定していた倍以上の家賃がかかることが判明。 さらに、物件にも課題がありました。
志歩さん:
「電線が地下に通っているから、下水を引っ張ってくるのにも普通よりお金がかかる」

電気・ガス・水道が通っていないため、初期工事費や運転資金だけでも1000万円以上が必要です。 さらに厨房機器を揃えれば、莫大な出費となります。
志歩さん:
「借入の額が桁違いに増えてしまう。借りられればいいけど、自分たちには無理だよな」
開業に向け、課題は山積みです。 まずは新たな融資先を何としてでも見つけなければなりません。
飛騨に移り住んで2カ月。 この日、耕二さんは開店に向け力を貸してくれている地元の大工さんに料理をふるまうことにしました。
大工の男性:
「水道用のパイプが無いので配管できない。そのため基礎ができない」

中東情勢の悪化で、資材の調達ができるかも不透明になっています。
耕二さん:
「始めるまでお金がかかるし、とてもハードだけど、家族の幸せが一番の目標なので頑張ります」
名古屋で磨いた味を武器に、若き料理人夫婦の新たな挑戦が始まっています。
2026年4月29日放送

