誰かへのしわ寄せから“持ちつ持たれつ”へ…『育休カバー手当』開始から1カ月 カバーする側とされる側に起きた変化

愛知県一宮市では、育休を取得する職員の業務をカバーした同僚へ“手当”を支給する「育休カバー手当」が始まっています。取得する側の心理的負担を減らし、カバーする側のモチベーション向上にも繋がっているようですが、課題も見えてきました。
■愛知で「初」カバーした同僚に“手当”
平日の朝、生後4カ月の長男・柊凪(ひなぎ)ちゃんにミルクを上げる、前田和希さん(29)。一宮市の職員で、2026年2月から4カ月間、“長期の育休”を取得中です。
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一宮市で2026年度から始まった「育休カバー手当」。愛知県内の自治体で初めて行われ、全国的に見ても数少ない取り組みです。
育休カバー手当では、育休を取る職員の業務をカバーした同僚に手当が支払われます。
対象となるのは、代わりの職員が配置されず、1カ月以上業務をカバーした最大4人で、あらかじめ所属長がカバーする職員を指定します。
支給額については、育休を取った職員の1カ月の給料の4%にカバーした期間を掛けた額で、複数人でカバーした場合は等分して支払われます。

例えば、給料が30万円の職員が5カ月間育休を取り、4人の同僚がカバーした場合。30万円の4%の1万2000円に、5カ月分を掛けた6万円を4人で等分し、1人あたり「1万5000円」がボーナスに上乗せするかたちで支払われます。
■手当導入で「育休取得のハードルが一段下がった」
前田さんは、長女・ひよりちゃん(2)が生まれた時にも、半年間育休を取得しました。今回、「育休カバー手当」が導入されたことで気持ちの変化も。

前田さん:
「前回の方が、ただ抜けるだけになってしまうので、心理的なハードルがあったといいますか、申し訳ないなと。(育休取得の)ハードルが一段下がったなと思います」
現在は会社員の妻・千奈さんも育休を取り、2人3脚で育児に家事に奮闘中。子供の成長を近くで感じられる、かけがえのない時間です。

前田さん:
「仕事で疲れてあまりゆっくり見られなかったりするかもしれないので、今の育休の時間はすごく大事だなと思います」
■“カバーする側”はどう感じている?
前田さんの職場、一宮市の子育て支援課「保育施設監査室」。この部署では、市内の保育施設が法律や条例に沿って適切に運営できているか、確認しています。
前田さんの業務をカバーする、同僚の高田さんと山田さん。これまで前田さんが監査のために市内16の私立保育園への日程調整をしていましたが、2人が自分の業務に加えてカバーしています。

さらに、これまでは前田さんを含めた3人で、保育士の数や施設の安全面など、法律や条例に沿って資料作りをしていましたが、今は2人で担当しています。
「育休カバー手当」について、カバーする側はどう感じているのでしょうか。
同僚の高田さん:
「何もないよりは、自分がしっかり業務を代わりにやらなければいけないと、身の引き締まる思いを改めて感じました」
同僚の山田さん:
「非常にモチベーションアップにつながっていると思います」
手当はモチベーション向上に繋がる一方、少人数の部署のため休暇が取りづらくなり、時間外勤務も『若干の増加傾向』だといいます。
同僚の高田さん:
「本当は人員配置という形で人を増やしていただけると一番かなと思うのですが、男性の場合は育児休業の期間が短いこともあるので、なかなか人員配置でやっていただくのは難しい」
手当の支給で、誰かへのしわ寄せから、持ちつ持たれつへ。誰もが働きやすい職場づくりに向け、模索は続いています。

