ケーキ職人が“重度の小麦アレルギー”に…全商品をグルテンフリーに切り替えたパティシエ 4種の米粉で「おいしいを諦めない」


 愛知県岡崎市に小麦を使わないグルテンフリーのスイーツ専門店があります。かつてフランスで活躍したシェフが、重度の小麦アレルギーを発症。それでも「おいしいをあきらめない」と米粉を使ったスイーツを次々と生み出し、多くの人に笑顔を届けています。

■フランスでも活躍 パティシエを襲った“体の異変”

 岡崎市にある洋菓子店「シェ・カズ」、ショーケースに並ぶ、ショートケーキや地元でとれたイチゴをたっぷり使ったタルトは、すべて小麦を使っていない“グルテンフリー”のスイーツです。

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オーナーパティシエの石川和雅さん(49)は、27歳で修行のためフランスに渡りました。有名店でチーフパティシエを務め、現地のコンクールで優勝するなど腕を磨きました。

帰国後の2008年には、生まれ育った岡崎で「シェ・カズ」をオープン、すべてが順風満帆でしたが、8年前、お昼に買ったアメリカンドッグを食べた後、突然、体に異変を感じました。

石川和雅さん:
「視界がホワイトアウトしてしまって、耳も聞こえなくなってきて、そのまま血圧が下がって倒れてしまって」

病院で検査を受けた結果は『重度の小麦アレルギー』でした。

ケーキを作る職人が小麦アレルギーに…パティシエ人生で訪れた最大のピンチにも、石川さんは前を向きました。

石川さん:
「食べられないからしょうがないという感じです。あきらめの境地。前向きに考えて、自分と同じようにケーキ食べたいけど、小麦使っているから食べられない人がたくさんいると思ったので」

『小麦がダメでも、あきらめない』、石川さんは、米粉を使ったスイーツ作りを始めました。

これまで小麦で作っていたものの味に近づけるため、スポンジ用・タルト用・焼き菓子用など、4種類の米粉を使い分けます。

試行錯誤を重ね、全部の商品がグルテンフリーに切り替わるまで、5年近くを要しました。米粉は、小麦に比べて膨らみにくいため、砂糖や水の量をグラム単位で調整し、ふわふわで口溶けの良いケーキを焼き上げます。

石川さんが心を込めたスイーツを求め、遠方からも小麦アレルギーのお客さんが訪れます。

家族のバースデーケーキを受け取りに、みよし市から来た女性は、いつも1人だけケーキを食べられませんでした。

女性客:
「本当にケーキをあきらめていたのでうれしかった。『わぁ!』と思って」

バースデーケーキも、もちろんグルテンフリー。この日の夜は、みんなでお祝いです。

女性からのメッセージ:
「スポンジがふんわりとしていながらしっとり。食べられることがすごく幸せで、感謝の気持ちでいっぱいです」

■小麦アレルギーでも『おいしいを、あきらめない』

 石川さんの挑戦は今も続いています。岡崎市制110周年を記念して、お土産に適したお菓子を作ろうというのです。

徳川家康が配下の武士に持たせたという保存食「味噌玉」をヒントに、八丁味噌をローストし、胡桃やホワイトチョコレートと一緒に、米粉の生地に練り込みます。

石川さん:
「味噌をあらかじめ下処理して、つんつんした感じがなくて、でも味噌の香りはしっかり残っているというのがいいと思います」

こうしてできあがった「家康公の味噌クッキー」。パッケージは武士が腰にぶら下げる巾着をイメージしました。

客ら:
「八丁味噌と米粉の組み合わせが珍しくて」
「友達がこのクッキーを買ってきてほしいと。八丁味噌が大好きなので。バーベキューをやるので、その時にデザートでみんなで食べようかなと思ってます」

用意していたクッキーは、販売から3時間余りでほぼ完売しました。

「おいしいを、あきらめない」夢はまだまだ広がります。

石川さん:
「地元の方に愛されるのはもちろん、小麦アレルギーを持っている人が『あそこに行けば、食べられるものがあるよね』というお店になるように頑張っていきたい」

2026年5月27日放送

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