100年以上続く老舗製麺所が“素麺と冷や麦の専門店”オープン 伝統の手延べ麺の魅力を発信する4代目の挑戦


 三重県四日市市で100年以上続く老舗製麺所。その4代目が、そうめんとひやむぎの専門店をオープンしました。伝統の手延べ麺の魅力をもっと多くの人に届けるために、挑戦を続けています。

■100年続く老舗製麺所

 三重県四日市市大矢知に、100年以上続く老舗の「伊藤製麺所」があります。地元では「金魚印の手延べ麺」として親しまれています。

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4代目の伊藤寿人さん(40)が家族とともに切り盛りしています。作られた麺は、製麺所に併設された直売所で販売されています。

看板商品の「大矢知手延そうめん」(10束800円)は、透き通るような美しい麺が特徴です。つるりとしたのど越しとしっかりとしたコシが楽しめ、これからの季節にぴったりです。

このほか、「手延麺(ひやむぎ・きしめん・うどん)」(2束470円)も製造しています。

客:
「コシがあってモチモチしている」
別の客:
「のど越しがいいです」

■真夜中から始まる麺づくり

 午前2時半。伊藤さんの一日は、小麦粉に塩水を加えて生地をこねることから始まります。

伊藤さん:
「生地が一番大事なので、できるだけ丁寧に仕上げるようにしています」

小麦粉を少しずつ加えながら水分を調整し、およそ1時間かけて生地を仕上げます。

午前5時過ぎ。妻の由佳さんが加わり、生地に油を塗りながら2時間ほど熟成させます。その後、父の一彦さんが次の工程へ進みます。

一彦さん:
「麺を順番に細くしていく作業です。巻き込んでよりをかけながら細くしていくことで、コシなどに影響します」

生地をねじるように細くのばす。この作業を何度も繰り返します。

続いて、太さ1センチほどになった生地を、母の佐江子さんが2本の棒に8の字を描くようにかけていきます。こうして家族総出で麺を作り上げていきます。

手延べ麺は、ラーメンやうどんのように切って作るのではなく、少しずつのばして仕上げることで強いコシが生まれます。その一方で、多くの手間と時間がかかります。

佐江子さん:
「今は機械ですけど、昔は手でのばしていました」

1.5メートルほどにのばしたら乾燥させ、最終的には2メートルほどの極細麺に仕上げます。

佐江子さん:
「場所によって風のあたり方が違うので、移動させないと部分的に乾き過ぎてしまいます」
一彦さん:
「手間がかかるので大量には作れません。少しずつ仕上げていくため、どうしても時間がかかります」

正午。作業開始からおよそ10時間。麺同士がくっつかないように、菜箸で一本一本開いていきます。

寿人さん:
「やはりコシと茹で上がりの艶が大切です」

さらに半日かけてゆっくり乾燥させ、ようやく完成です。

■手延べそうめん専門店をオープン

 大矢知そうめんは、江戸時代末期に旅の僧侶が製法を伝えたことが始まりといわれています。この地域が小麦の産地でもあったこともあり、農家の副業として広まりました。

今も伝統的な製法を守り続ける大矢知そうめんの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい。そこで、2026年2月、4代目の寿人さんは四日市市の中心地にそうめんとひやむぎの専門店「手延麺いとう」をオープンしました。

看板メニューは、京都などの和食店で修業した料理人が手がける「そうめん」(950円)です。

店長:
「本格的なダシと本格的な麺を合わせて、最高の一品を作りたい」

昆布にカツオやサバなど4種類の節を合わせた特製のめんつゆを使います。麺の茹で方にもこだわりがあります。

茹で上がった麺は、手でほぐしながら素早く流水で締めます。そうすることで、コシとのど越しを最大限に引き出します。見た目にも涼やかなそうめんが完成しました。透明感のある麺を、風味豊かなめんつゆでいただきます。

さらに、甘辛く味付けした牛肉をのせた「肉ひやむぎ」(1200円)や、土鍋で煮込んだ「煮込みカレーひやむぎ」(1300円)も人気です。

午前11時の開店と同時に、次々と客が訪れます。

客:
「すごくモチモチしていて、家で食べるそうめんとは全然違います」
別の客:
「コシが全然違います。とてもおいしいです」
寿人さん:
「遠方の方や、できるだけ若い世代の方にも魅力が伝わったらと思います」

100年以上受け継がれてきた大矢知の手延べ麺。その伝統の味を次の世代へつなぐため、4代目の挑戦は続いています。

2026年6月11日放送

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