新たに名古屋の名門「元御三家」の一角も…女子大に迫る『共学化の波』少子化だけではない“複合的な要因”とは

名古屋で“女子大御三家”とも言われた名門・金城学院大学が2026年7月、共学化を決めたと発表しました。全国でも減少が続く”女子大”、生き残りをかけた試行錯誤が続きます。
■名古屋が誇る名門にも…迫る「共学化の波」
7月12日、金城学院大学でオープンキャンパスが開かれました。かつて名古屋の“女子大御三家”と言われた名門校に、受験を考える多くの高校生が訪れましたが、中には男子生徒も。
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高校1年の男子生徒:
「多元心理学科が気になっていて」
男子生徒の母親:
「ホームページを見て、(共学化)決定ってなっていたので」
金城学院大学は7月3日、2029年度からの共学化を決めたと発表しました。4月下旬に、共学化の“検討”を表明してから2カ月あまりでの電撃的な決定で、共学1期生となる今の高校1年生から、男子もオープンキャンパスへの参加が可能になったのです。

金城学院大学に在学中の姉に連れられてやってきたという高校1年の男子は…。
高校1年の弟:
「通いやすいし、学校も綺麗でいいなと思いました。時代とかもあると思うし、共学化によって選択肢も増えるので、いいと思います」
金城学院 小室尚子理事長:
「共学化を決定いたしました。金城学院大学がなくなるわけではなく、設置者が変わりますけれども、ますます良い形で進めていきたい。学生の皆さんの可能性をもっと大きく広めていきたいという挑戦の決断でもあります」
■卒業生「いっそ廃校に…」戸惑いや反発の声も
135年続いた女子大学の歴史に終止符を打つ決断には、戸惑いの声も上がっています。
中学から金城の大学1年生:
「(共学化は)考えたこともなかったからびっくり」
中学から金城の大学1年生:
「うれしくはない。女子校だと思って入ったので、いきなり変わると、就職もそうですし、どう生活に響くのかが分からない」
大学3年生:
「(Q大学を選んだ理由は?)女子大だから。最後の最後で共学になる、ちょっと寂しい」
大学2年生:
「金城はブランドがあるじゃないですか、長年の、それがなくなりそうでそこはあんまりかなって」

母校に強い思い入れを持つ、卒業生の心境も複雑です。
OG会「みどり野会」 林小夜子会長:
「多くの方が動揺と同時に、今後の金城学院がどうあるのか、不安もありましたけれども、より多くの卒業生の意見を集約し、金城学院に伝えることが必要であると判断」
明治につくられた伝統あるOG会「みどり野会」は6月、卒業生を対象としたアンケートの実施を表明しましたが、回答を集計するさなかに共学化決定が発表され、戸惑いの声が多く寄せられているといいます。

その卒業生の1人、森千夏さんは、中学・高校・大学と金城一筋のいわゆる“純金”です。
卒業生の森千夏さん:
「もう絶対反対ですね。金城らしさが失われる。金城に限っては、(厳しい状況下でも)女子大としてずっとあり続けてほしかった。共学になるくらいだったら、いっそのこと廃校になってもいいんじゃないかというくらい」
女子だけの一貫教育で10年間のびのびと成長できたと振り返り、いずれ中学・高校も共学になってしまわないか、心配だといいます。
いったいなぜ、このタイミングで共学化なのか、理事長に取材を申し込みました。

金城学院 小室尚子理事長:
「少子化っていうことが強く影響してますけれども、子供たちが減っていくなかで、金城学院をどういう風に残していくのか。今回、名古屋学院大学と共に生きていくっていうことを考えていく中で、共学化というのは避けられないことだと思いました」
5年前から続けた協議の結果、同じキリスト教系の名古屋学院大学の傘下に入ったうえで、共学化に踏み切ることを決めたと言います。

金城学院 小室尚子理事長:
「単なる入学者確保のための共学化っていう、そういう思いは全くないです。男子・女子一緒にこれからの社会を作っていくっていうことを考えた時に、共に学んで、それぞれの人格を尊重し合って、そういうことも大切だろうなっていうふうに、これを機会に共学化に踏み切ろうと」
■減少続ける“女子大”…少子化だけではない“要因”
金城学院大学と並んで“御三家”に数えられていた愛知淑徳大学は1995年に共学化され、当時、大きな驚きを呼びました。
その後も女子大の共学化は加速し、90年代に全国で100校近くあった女子大学は、今では66校になりました。

国内外の女子大などをテーマに研究している武庫川女子大学の安東教授は…。
武庫川女子大学教育総合研究所の安東由則教授:
「経営的な判断が大きいんじゃないかと思います。どう生き残っていくのか、まず手っ取り早いのが共学化です。少子化はもちろん進んでいるんですけど、女子の大学進学者は増えている状況。ですから少子化というだけでは片づけられない」

安東教授によると、共学化の要因は複合的で、かつて多くの女子大が売りにした「就職率の良さ」が、売り手市場のなかで目立たなくなったことや、女性の進路が多岐に広がり、これまであった学部でカバーしきれなくなっていることなどもあるといいます。
安東教授:
「女子大としての理念だけで生き残っていくのは中々大変です。個性とか地域性をどう生かして現代社会の中でアピールできるか、女子大だからではなく、女子大を一つの個性として活かしていけるかどうか」
■あえて“女子大”を堅持…「女性に特化した教育を」
女子大の理念を“個性”に。金城の共学化が浮上したタイミングで、もう1つの“御三家” 椙山女学園大学はあえて「女子教育宣言」を発表しました。

椙山女学園大学 椙山泰生理事長:
「女性が今の社会の中で、自ら主体的に自分の将来をデザインして選んでいってという事をできるような学校でありたいと。東海地域の中で女性に特化した教育をやっている学校自体が残っていくという事を明確にお伝えして、社会的な役割をちゃんと果たしていくんだということをお伝えしたかった」

星ヶ丘に整備中の新しい施設には、卒業生のキャリア支援や子育て支援などを行う拠点も入る予定で、女性の将来設計のサポートも強化していく方針です。
椙山理事長:
「社会に出て以降も、女性が取り組んでいく上で支援を必要とする部分があると思っていますので、社会に出て以降も色んなものを提供していくようなそういう学校であることによって、大学としても女子大であることの意義を訴えていこうと思っています」
■共学化のメリットも…生き残りにつながるか
去年4月に名称を名古屋女子大学から変え、男子の受け入れを始めた名古屋葵大学。
“共学”になり1年あまりが経ちました。

生活環境学部の授業では、およそ20人の学生のうち、男子が3人。以前は定員割れとなる学科もありましたが、2026年度の入学者数は女子大時代の2年前から、およそ3割増えたといいます。
学内に男性用の更衣室やトイレを増設し、食堂では男子学生向けに1.5倍の大盛りニューも追加しました。サークル活動も以前より活発になったといいます。

大学2年の男子:
「建築を学べて通える場所どこだろうってなった時に、この大学を教えてもらって。最初は(男子が少なくて)嫌だなと思っていたんですけど、女性とあまりしゃべれないのが欠点だったんで、ちょっとアドバンテージになったかなと思っています」
大学3年の女子:
「全体的に明るくなったなって、(男子は)声量がでかい」
大学3年の女子:
「人間関係の幅が広がったなって思います」
金城学院大学のオープンキャンパス。3年後には、共学1期生を迎えます。
高校1年の男子生徒:
「男性もここで学べることができるようになると、幅が広がるのかなと思って、いいと思います」
金城学院大学の3年生:
「ちょっと悲しいなというところではあるけど、今後の大学の維持としてはそっちの方がいいんだろうなって」
金城学院大学の3年生:
「あんまり想像つかないです。『ここに男の子が来るんだ』みたいな、ちょっと空気感が変わるのかな」
名門女子大学は、どのように姿を変えていくのでしょうか。
2026年7月30日放送

