誕生から69年の“巨大迷宮”…名古屋駅周辺に広がる個性豊かな『地下街』その知られざる歴史と止まらぬ進化


 名古屋の街を支えてきた「地下街」。中でも名古屋駅周辺には、個性豊かな地下街が広がっています。今回は「サンロード」「ユニモール」「エスカ」を巡り、知られざる歴史と、今も愛されるグルメを調査しました。

■名古屋駅・地下街文化のはじまり「サンロード」

 地下街を一緒に巡るのは、名古屋の食文化や暮らしを30年以上取材してきたライター・大竹敏之さん。

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まずは、地下鉄、名鉄、近鉄の駅に直結する「サンロード」から。昭和32年に開業し、現在は約80店舗が軒を連ねています。

大竹さん:
「サンロードの特徴はカーブしていること。この下を地下鉄が走っていて、地下鉄の線路に沿って造られている地下街です」

名古屋にはじめて地下街が誕生したのは昭和32年。当時の名前は「ナゴヤ地下街」でした。

大竹さん:
「車が増えてきた昭和30年代、交通事故が社会問題化しました。車は地上、人は地下という安全確保のために造られました」

ちょうど同じ頃、名古屋では地下鉄の建設計画が進んでいました。そこで、地下鉄と一緒に造った方が経済的だと、その上に地下街を整備することになったのです。

開業した「ナゴヤ地下街」には、「大須ういろ」や「きよめ餅」といった名古屋を代表する銘菓の店をはじめ、ブティックや理髪店など62店舗が出店。巨大な商店街としてにぎわいました。

■老舗「妙香園」の集客術

 昭和33年にサンロードに店を構えたのが、大正5年に熱田区で創業した老舗のお茶専門店「妙香園」です。

看板商品の「ほうじ茶」(150g・1296円)をはじめ、香り豊かなお茶が数多く並びます。

妙香園・田中良知社長:
「地下鉄ができて、遠いところからも人が来ます。通路を歩く人をどうキャッチするか、創業当時から考えています」

集客のために考えたのが、店頭に焙煎機を設置し、ほうじ茶を煎る実演販売です。

この作戦が見事に的中。地下街に広がる香ばしい香りに誘われて、店をのぞく人が増えたといいます。

■駐車場と一体で誕生した「ユニモール」

 続いては、名古屋駅と国際センター駅を結ぶ「ユニモール」。昭和45年に開業し、89店舗が軒を連ねています。

大竹さん:
「サンロードは地下鉄の上でしたが、ユニモールは駐車場の上にある地下街です」

昭和40年代、一般家庭にも車が普及し、本格的な「車社会」が到来。ビルの開発が進む名古屋駅周辺では、駐車場の確保が大きな課題となっていました。

そこで昭和45年に建設されたのが、地下の大型駐車場。その上に造られたのが、地下街・ユニモールです。

そんなユニモールならではの店が、壁ショップです。

店の奥行きは、わずか50センチ。実は壁の向こうには、地下駐車場と地上をつなぐスロープがあります。そのため、限られたスペースを生かして、壁沿いに商品を並べているのです。

壁ショップの店長:
「メリットは、全商品をくまなく見てもらえること。通り過ぎた人が、ムーンウォークのように戻って見ていかれることも多いです」

■50年近く愛されるマグロ料理専門店

 グルメも充実しているユニモール。50年近く愛されているのが、まぐろ問屋が手がけるマグロ料理専門店「鮪小屋本店」です。

静岡県焼津港から直送されるマグロを、お値打ち価格で味わえます。

定番の「刺身定食」(1850円)をはじめ、「唐揚げとえらべるミニ丼セット」(1000円)など、女性に人気のメニューもそろいます。

リポート:
「マグロのもっちりとした食感と卵があいまって、ご飯がすすみます」

さらに人気なのが「鮪唐揚げ定食」(1450円)。カラッと揚がったマグロのほほ肉は、特製ダレの下味がしっかりと効き、ご飯との相性も抜群です。

■名古屋の玄関口「エスカ」

 最後は、名古屋駅の西側、新幹線口からエスカレーターを降りた先に広がる「エスカ」です。

昭和46年に開業し、77店舗が軒を連ねています。

昭和39年、東京と新大阪を結ぶ東海道新幹線が開業。名古屋駅周辺の人の流れが大きく変わる中、新幹線口がある西側に誕生したのが「エスカ」でした。

大竹さん:
「エスカは新幹線から直結していて、旅行者が多いのが特徴です。なごやめしの店も多い」

地元客の利用が多い東側の地下街に対し、エスカは旅行客が多いのが特徴です。

そんなエスカで、なごやめしの店が増えるきっかけとなったのが、2005年の愛知万博。全国から多くの観光客が訪れたことで、なごやめしブームに火がついたのです。

エスカでは2001年に「矢場とん」がオープン。その人気に加え、愛知万博の追い風もあり、なごやめしを提供する店が次々と増えていきました。

現在、35店舗ある飲食店のうち、約7割の店がなごやめしのメニューを提供しているといいます。

なごやめしを全面的に打ち出したことで、エスカの飲食店の売り上げも大幅にアップ。1990年代には約20億円だった売り上げが、2015年には約45億円にまで増えました。

大竹さん:
「1か所でこれだけなごやめしが充実しているところはありません。観光客が来やすく、愛知万博がなごやめしブームのきっかけになりましたが、それをけん引したのがエスカだったと思います」

そんなエスカで、独自のなごやめしを生み出しているのが「海老どて食堂」です。

名古屋の人が大好きなエビフライをさまざまな形で楽しめる「大海老ふりゃ~食べ比べ定食」(2299円)が人気です。

さらに、「名古屋串盛り」(1859円)は、エビフライや串カツを赤みそベースの“特製どてみそ”につけて味わう一皿。溶き卵を加えれば、まろやかな味わいになる、進化系のなごやめしです。

リポート:
「サクサクなエビフライに、甘めの“どてみそ”が絡みます。名古屋の人が好きな味です」
大竹さん:
「名古屋以外から来た人が食べて、“名古屋らしい”と感じる味ですね」

時代とともに変化する人の流れに合わせて進化してきた名駅の地下街。その歴史をひも解くと、たくさんの「ナルホド!」がありました。

2026年8月24日放送

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