出退勤自由・当日欠勤OK…売上20倍を実現した「カリスマ社長」は甲子園ヒーローの父 人が集まる職場づくりの秘密

甲子園を沸かせた県立岐阜商業のヒーロー。その父は売上5000万円の会社を11億円企業へ成長させた「カリスマ経営者」でした。
岐阜市のプリント加工メーカー「坂口捺染」の坂口輝光社長は、出退勤自由や当日欠勤OKなど独自の働き方改革を実践し、成果を上げてきました。
さらに、岐阜からプロ野球選手を育てようと、独立リーグ参入を目指す新球団のプロデューサーにも就任。挑戦を続ける型破りな社長の挑戦に密着しました。
■32歳で就任 ”金ピカ社長”の半生
2025年夏の甲子園。準々決勝で劇的なサヨナラヒットを放った県岐商の坂口路歩(ろあ)選手。チームをベスト4に導き、歓喜に包まれました。
母校に凱旋した選手たちを出迎えた坂口選手の父、輝光さん。実はプリント加工メーカー「坂口捺染(さかぐちなせん)」の社長です。
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1953年、着物の染め物を行う会社として創業した坂口捺染。
ワイルドなサングラスに、ぎっしり身につけられたネックレスや指輪、見た目のインパクトが強い輝光さん。高校卒業後、アメリカへ留学し、帰国した2004年に入社しました。
坂口社長:
「27歳で専務になった時も(父親に)『お前27歳で専務な』と半年前に言われて。(社長になったのは)32歳」

3代目の社長に就任後、ライブや文化祭のTシャツなど新規の顧客を獲得し、 売り上げは20倍の11億円に、従業員も15人から220人になりました。
■急成長の秘密は”社員ファースト”
成長を続ける坂口捺染、その原動力は何かを社長に聞くと…。
坂口社長:
「これしかない、うちの強みは“人”です。魅力は“人”です。人間としてみんながいるから強いし楽しいし、素晴らしい商品があがったり、年間を通して楽しい瞬間や思い出に残る瞬間が会社の中にある」

「人が強み」と話す坂口社長。働いていて楽しい、”坂口流”働き方改革”とは…。
◇改革その1【出勤・退勤時間が自由】
坂口社長:
「共働きが多くなった。子供が小さいのに働きに出る親が増えたので、それなら会社がそれに合わせれば、すき間時間ではないが働けるなと」
女性従業員:
「子供が小さいので体調を崩すこともありますし、学校行事も多い中で簡単に休みをもらえることは母親として嬉しい」

さらに当日欠勤もOK!
従業員:
「普通の会社だったら急な休みはダメと言われると思うんですけど、『いいぞ』と言ってくれるのでありがたいと思っています」
◇改革その2【毎日 職場をシャッフル】
坂口社長:
「普通今から仕事ですと言ったらめちゃくちゃテンション低くない?うちめちゃ高いからね」
朝、出勤した従業員たちが笑いながら見ているのは、当日のシフト表です。

坂口社長:
「何で今から現場に行くのに笑っているのと思うが、この笑っている風景を作ってあげたい。何を指さしているのかって、朝来ないとどこの課なのかわからない。いつ来てもいつ帰ってもいいよというのが前日までにわかります。その代わり自分たちが来たらどこに行くかはその日じゃないとわからない」
従業員が複数の仕事を担当できるため、当日の欠勤や早退があったとしても全員でカバーできるメリットがあります。
◇改革その3【定年退職がない】
坂口捺染では働きたい気持ちがあれば、年齢は問いません。最年長の社員は今年で70歳になります。
70歳の従業員:
「25歳で入社し、15年いて独立したんです。で、64歳でまた戻ってきました」
坂口社長:
「ずっと作業するとこういう指になる。職人だもん」
70歳の従業員:
「若い人と一緒に仕事することが元気の秘訣だよね」

上は70歳、下は17歳と幅広い世代が働く坂口捺染。しかし、順風満帆に会社経営が続いたわけではありません。
コロナ禍でイベントが激減し、大きな打撃を受けました。
坂口社長:
「ライブTシャツを作ることが多かったので、芸能関係はイベントが軒並みキャンセルになる(売り上げは)90%ダウン」
この時、 従業員の仕事を確保するために…。
坂口社長:
「とりあえず何でもいいから何かあったら『やろうぜ』と声をかけて、やり始めたのが防護服のたたみとか、マスクの検品があって、やっていたら2カ月くらいでV字回復してしまって」
どんな仕事でも取り組んだ結果、コロナ前の売り上げを超える規模に。
さらに工場の敷地を歩いていると従業員の車を洗車する青年がいました。甲子園の横浜高校戦サヨナラヒットを放った坂口路歩さんです。
父に続き県岐商を卒業後、9月からアメリカの大学に進学します。

路歩さん:
「父の話を聞いて留学とか。本当に楽しそうだなと思って。野球やるとしたらアメリカかな」
異国の地での挑戦、路歩さんの夢は…。
路歩さん:
「今の夢はお父さんの会社に入って、後を継ぐことが目標」
父に憧れ、同じ背中を追う路歩さん。
路歩さん:
「まだ人間としてちょっと小物なので、もっと器もでかくなって、人としても成長して帰ってきます」
坂口社長:
「人は何をもって喜ぶのか、何をもって悲しむのか、これを見つけて感じられる人になってほしい」
■「大人になるのは楽しそう」子供たちに伝えたい思い
坂口社長はプリント加工業だけではなく新事業にも取り組んでいます。
2024年8月にオープンした複合施設「TWR」には、モーニングやランチが楽しめるカフェやオリジナルのアパレルや、社長が使用していた衣服を購入できる店もあります。

坂口社長:
「岐阜には海ないし、異空間で海だったり海外を想像させるような場所がここにあれば、毎日旅行気分じゃんとなるかなと思って」
さらに、子供たちが安心して集まれる場所を作りたいという思いから駄菓子屋まで。学校終わりの子供たちが多くいました。

子供たち:
「ここに駄菓子屋ができたから、すぐ行けるし、うれしかった」
「まさに夢の国。近場の夢の国」
坂口社長:
「子供らが来たら従業員も言っていたけど『中で食ったらいかんよ』とか、そういう大人の声、子供らの親と先生以外の声をもっと聞かせないといけないと思っている」
「生きるって楽しい」「大人になるのは楽しそう」坂口社長が子供たちへ伝えたい思いです。
坂口社長:
「かわいいよ子供らは。子供たちにとっての大人が身近なほうがいい。もっとみんなの周りにそういう大人が増えれば『大人になりたい』と思うじゃん」

家族、従業員、地域の子供たちからも愛される坂口社長。
坂口社長:
「子供も含めて集える場所が作りたかった。その空間ができたので、子供らにとっても大人にとってもいい空間になったなと思う」
■ふるさと岐阜の未来に夢を…新球団の”盛り上げ役”に
そんな坂口社長、今度はプロ野球を目指す選手らに次の夢を。
坂口社長:
「岐阜から日本の独立リーグ自体が盛り上がって、人手不足がないような形になってほしい」
プロ野球独立リーグ参入を目指す「岐阜テクノアダイヤモンドリバーズ」のプロデューサーに就任しました。

坂口社長:
「若い選手がシーズン以外はフルで働いてもらって、シーズン中は時短で働いてもらうことができれば、企業にとってもよくないですかと言われたので、俺がプロデューサーになろうかと言って、プロデューサーになった」
会社だけではなく岐阜の未来に明かりを灯す坂口社長は、今後も規模の拡大を目指していきたいと話します。

坂口社長:
「ゆくゆくは美容もあったりなど何でもいいので、いろんな人たちが気軽に来れる空間がここにあったらいいと思います。人を育むまでいけるかは分からないが、人が集って人として生きられる場所が坂口捺染かなと思っています」
2026年8月21日放送

