――台湾ロケはいかがでしたか?
いやぁ、もう本当に楽しかったですね。台湾の人たちは、みなさんエネルギッシュで心優しい方ばかり。台湾から帰りたくないって思うぐらい(笑)、居心地が良かったです。現地入りして最初の3日間は、日勝生加賀屋さんでロケが行われたんですが、出演シーンの多い羽田さんはずっと出ずっぱりで…。
結局、羽田さんはその3日間、旅館から一歩も外に出られなかったらしいんです。加賀屋さんの控室に行ったら、檻の中に入れられた子犬のように窓の外を見てる羽田さんがいて、その姿を見たら、カワイイやらかわいそうやら…、何とも言えない気持ちになりました(笑)。普通だったら弱音をはいてしまいそうな過密スケジュールの中でも、僕を見るなり「津田さんは外に出られていいなぁ」とニコニコしながら楽しそうに冗談を言う羽田さんを見て、改めて本当に素敵な方だなと思いましたね。
野際さんとは、撮影の合間、少しの時間でしたが一緒に台湾観光をさせていただきました。
街中を歩いているとあちこちで漢字を見かけるんですけど、野際さんが「この漢字は私が女学生の頃に習った漢字だ」とか、「この漢字は今、日本では使われていない」とか、的確に解説してくださるんです。その姿はまるでガイドさんのようで(笑)、本当にありがたかったですね。
――台湾では、撮影のために小籠包作りに挑戦されたそうですね。
今回は劇中に宗佑が小籠包を作るシーンがあったので、本番の前日、ロケ地のお店で実際に小籠包作りの修行をさせていただきました。そのお店は、とにかく小籠包がおいしいと評判のお店で、大将のチョウさんは、14歳の時から50幾つになる現在まで、もう何十年も小籠包作り一筋でやってこられた方。今回僕はそのチョウさんに直接指導していただけることになりまして。
でも実は僕、生まれてこのかた一度も小籠包を食べたことがなかったんですよ。だから、修行の前にまずは一度食べてみなければとチョウさんが作った小籠包をいただいたんですが、それがもうビックリするぐらいうまかった!
で、さっそく厨房に入らせていただいて、まずは小籠包の生地を切り分ける作業から始めました。包丁などは使わず自分の手で切り分けていくので、最初はチョウさんの指の動きを観察して見よう見まねでやってみたんです。でもチョウさんから「全然ダメだ」って言われて(笑)。実際に生地を見てみると、チョウさんが切り分けたものは生地がふっくらしているのに、僕のはつぶれちゃってるんですよ。
そのあとに、切り分けた生地を綿棒で伸ばして、その中に小籠包の中身の“タネ”を入れていく工程も教えていただいたんですが、どの作業もとてつもなく難しくて。何回も何回も失敗を繰り返しながら、とにかく夢中になってやりました。そうしたら、自然と気持ちも宗佑になっちゃったんですよ。「今、この親方からこの技を習得しないと、僕はこの先、一歩も前に進めない」という宗佑と同じような心境を肌で実感できたというか…。
そして翌日、無事に本番を終えることができまして、チョウさんが僕に「普通、あそこまでの技術を習得するには短いヤツでも1週間はかかる。でもそれをたった1日でやり遂げられたのは、君がそれだけ集中していたという証拠。本当によく頑張ったと思うよ」と声をかけてくださったんです。もう涙が出るほどうれしかったですね。
――前シリーズから1年が経ちましたが、宗佑に何か変化はありましたか?
パート1の時の宗佑は、事業に失敗して人生のどん底にいるのにイマイチ実感がもてなくてオシャレな格好をしちゃったり(笑)、老舗旅館の息子というボンボン気質が抜けないところがあったんです。でも、この1年の間に宗佑はアジアのいろんな国を転々として、いろんなものを見たりいろんな人に出会う中で、少しずつ変わっていった。
台湾で暮らす宗佑は、以前のように服装などの外見は気にしていないですし、髪も短くしてヒゲもはやして、ちょっとワイルドな感じになってます(笑)。もちろん、内面的にも成長しているので、台湾にいる宗佑はモテモテなんですよ(笑)。そんな宗佑の変化にも注目して、第2シリーズも楽しんでいただけたら幸いです。