4月2日(土)スタート毎週土曜よる11時40分 放送

火の粉

4月2日(土)スタート毎週土曜よる11時40分 放送

インタビュー

梶間勲 役 伊武雅刀さん

ここまでの撮影を振り返って、いかがですか?
最初にこの話を聞いたときは、裁判官が無罪にした男が隣に引っ越してきて、大変な事態が起こるという展開が面白そうだなと思ってたんです。『こりゃ、撮影も楽しみだ』と。実際は決して楽ではなかったですね。というのも、どれもこれも普通のシチュエーションじゃないから。常におびえたり、不安がったり。気持ち的にこういう演技をずっとしているのは、苦労がありますね。
勲は武内を怪しみ、ずっと恐怖に耐えていました。
自分が“モンスター”のような男を世に放ってしまったことへの負い目、何としても家族だけは守らなくてはいけないという決意。ドーンと重たいものをずっと抱えているわけですから。そりゃあ、勲自身も疲労困憊しますよ。
疲労困憊という言葉は伊武さんにも当てはまりますか?
これまで、社会的地位があったり、権力者だったり、そういう役を演じて、悪行を働き追い詰められていく、みたいなパターンは演じたことがあるけれど、ここまで心理的に、というのはなかったので。今回は、常にびくびくしたり、おどおどしたり、勲がどんどん崩れていく様を楽しんで演じています。

勲の置かれた状況をどう思いますか?
正直言えば、自業自得だと思われても仕方ない面もあるんじゃないですか。裁判官と言えばエリートだし、勉強だって相当してきたでしょう。ただその裏側には、家族をはじめ人間関係を犠牲にせざるを得なかった側面もあるだろうし、勲に起こっている事態は極端だったとしても、仕事人間が家庭を顧みないことで問題を抱えてしまうパターンの典型だと思います。そういうところに武内が入り込み、彼によって家族の大切さが分かったわけで。話として説得力がありますよね。
作品自体の感想をお聞かせください。
“家族”や“家庭”というものを考えさせられましたし、単純だけれど大切なものだということに改めて気づかされました。例えば家でセリフを覚えているとき、カミさんが話しかけてくることがあるわけです。『今、覚えているんだから』とつい言っちゃうけれど、向こうは向こうで相談事をしたかったのかもしれない。そこまで思い至らなかった自分も良くなかったな、とこの前思いましたね。
梶間家についての印象は?
勲たちみたいに、それぞれの問題が露呈しないで終わることもあると思います。ただ特殊な状況に置かれたとき、人間っていうのはどれだけ多面性を持っているものなのかということを突き付けられるのでしょう。それをどう受け止めるか試されるんですよ、きっと。
武内についてはどう思いますか?
困った奴ですよね。実際、こういうタイプの人間っていると思います。武内ほどエキセントリックじゃないにしても、『こういうことをしたら、喜んでくれるんじゃないか…』と人に何かして、それを無視されたら不愉快になるというのは実は誰にでも起こり得ること。自分に置き換えてみても『人の好意に感謝しろよ』と家族に思ってしまうことがあるから。人に裏切られた瞬間、豹変する人間もいますしね。『あれほど仲が良かったのに、何で急に口をきいてくれなくなるの?』みたいな。そういう意味では、武内は特別な“怪物”じゃない。だから怖いんです。
では、伊武さんは勲のように追い詰められてしまったとき、どのように対処しますか?
人間関係のトラブルは、出来るだけ穏便に済ませようとするでしょうね。武内を見て思ったのは、対抗意識をもってはダメだということ。とにかく彼がしてくることを受け止めているうちは安全なわけだから、対抗策を見つけるまでは相手の願い通りにするしかないと思う。ただし逆転のチャンスを見つけたら、ここぞとばかりにいくかもしれない(笑)。
勲はこれまでに演じたことがない役とのことでしたが、そんな伊武さんの演技に引き込まれている視聴者の方も多いです。今後の勲の見どころとは?
これからもどんどんビビリます。自分でも笑っちゃうくらいに。雪見さんとのやりとりで『何かあったら真っ先に俺が殺されてしまう!』というのがあったけれど、地位も名誉もあるはずの人間のギャップ、本性という意味でも、勲はとても興味深い人物だと思います。どこまで勲が弱さをさらけ出すのか、そして最後にどんな選択や行動をするのか、楽しみにしていてください。個人的には、あまりに衝撃的な出来事が続くので、もし無事に問題が解決したとしても、その瞬間に勲が燃え尽きてしまうんじゃないか、と心配しているくらいです(笑)。
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