9月29日 公開
台本を読んだ感想を教えてください。
小説を読むような楽しさがあり、本にときめいています。そして、“たまりば”という場所に若者が集まる理由は何なんだろう? と、考えています。居心地のいい場所って、あまり人に詮索もされずに好きなことをしてもいいような家のような気がします。ちょっと疲れたときに温かい物を出されたりしたらやっぱり嬉しいものですよね。
物語のテーマが社会問題など、どこかタイムリーな話題ではあります。
私は今、朝の情報番組という、事件などを扱っているお仕事をしています。毎日、新聞と情報番組のVTRを見て、皆さんのコメントを聞き、振られたら話すということをしていますと、本当に皆で考えなくてはいけない身近な問題が多すぎると思います。このドラマからは、そんな身近にある社会問題がポロポロとこぼれ落ちてきていて、どこかさくらの優しさに温まりながらも、皆さんが何かを考えてくださる時間があれば嬉しいです。でも一番は、土曜の夜に、ご覧になったあとに親子丼を食べたくなるような、親子丼の香りが匂い立つ温かいドラマになればいいと思います。こういう立派な題材を自分が演じるのは、正直、荷が重い部分もありますが、あえてこの題材を挑戦する意義は絶対にあると思っています。
九十九さくらの印象についてお聞かせください。
最初の印象は、私が演じるには遠い人物ではないかと思いました。私はさくらのように、こんなにも強い人間ではないですからね。さくらは相手に対して芯に触れるようなことを決して言わない人で、その部分に優しさや強さを感じます。でも、「ババア!」と言われたらすぐに怒りますし、とても自然体な人で、そんな部分もさくらの魅力だと思います。
私は今までキャリアを積んだ女性の役など、どちらかといえば強くてかっこいいイメージの役をいただくことが多かったです。でも、キャリアの方だって、その裏ではクタクタになっていると思います。綺麗に見せたい部分は大体辛く、人ってバランスを取って生きていると思いますから。その分、自然体なさくらは真の強さを持っていると思います。
さくら役を演じることで、真矢さんのイメージが変わるかもしれないですね。
それはとても光栄です。私も歳を重ねて、毎年、自分の固くなった概念みたいなものを外そうと頑張っています。でも、やっぱり自分の中の経験値で作り上げてきてしまう部分もあるので、何か大きな刺激が欲しいと常に思っていますし、さくらを演じるということに、今は楽しみしかないです。変えてもらえるのなら、ぜひ、変えてください(笑)。
さくらの親子丼のように、温かくて感動したご飯の思い出はありますか?
6年前ぐらいに前に、ある番組でアフリカに2、3週間行った事がありました。いい夫婦ぶりたいわけではないのですが、普段からキッチンに立たない不器用な夫が、私がアフリカから帰った日にシチューを出してくれて。そのシチューが今まで生きてきて、どんな高級な料理よりも一番美味しかったです。クオリティーは低かったと思います。でも、そんなものだと思います。
ドラマの見どころをお願いします。
温かいドラマをお見せしたいと思っています。みんな楽には生きていないけど、やっぱり何かを食べたくなるし、生きたくなりますよね、みたいな漠然としたことをお伝えするのでも私はいいと思っています。会社のため、家族のため等、自分のことを後回しにして日々進んでいる方というのが一般的ではないかと思うんです。たぶんそういう方たちがたくさん見てくださると思うので、この番組を通して、何か自分自身にも温かいものを差し上げてねと思います。



