新型コロナウイルスの影響で、多くの学校行事が中止や規模の縮小となりましたが、修学旅行も例年通りとは行かないようです。

 東海3県の多くの小中学校では春の予定から秋に延期していましたが、新型コロナが収束しないまま間もなくシーズンを迎えることになり、教育の現場は今、揺れています。

 愛知県あま市。「長時間の団体行動や入浴、就寝に心配」「発症した場合家族の安全への影響が考えられる」などとしてすべての小中学校の修学旅行を中止を決めました。

あま市教育委員会の日比野次長:
「1人感染の児童・生徒が出たら、当然修学旅行も中止せざるを得ない。自分が病気にかかったことが原因で、修学旅行が中止になってしまったということになれば、さらにその子が心を痛めてしまうことも心配されます」

 新型コロナが収束する前の段階で、宿泊を伴う団体行動は親たちも複雑です。

小学生と高校生の母親:
「行かせてやりたいですよね、やっぱり。すごい楽しみにしているので。自分も修学旅って、どうしたこうしたって覚えているので」

小学生の祖母:
「お年寄りを抱えているとか、重病人を抱えているとか、そしたらとても『とんでもない』というお宅もあるでしょうから」

小学生の母親:
「大人数で寝るとか色々心配はありますけど、やっぱり思い出づくりに行かせてあげたいです」

 そんな中、愛知県内のある公立中学校は修学旅行の実施を決めました。

中学校の校長:
「一番子供たちのなかで声が大きかったのは、『なんとか修学旅行に行きたい』という思いです」

 この学校では当初の予定を4か月延期し、9月中旬に2泊3日で神戸に行くことにしています。しかし変更されたのは、日程だけではありませんでした。

 もともとの行先は愛知県内の中学校の定番『ディズニーランド』。その後、東京を巡る予定でしたが、都内の感染状況から断念し、目的地を大阪の『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』に変更しました。しかし、その矢先に…。

校長:
「関西に決定してホテルもとれると決まった数日後に、大阪も(感染者が)増えている状況になりましたので」

 決まっていた予定が再び白紙に。二転三転し、急きょ神戸を中心とするコースに変更しました。

修学旅行の旅のしおりをよく見ると、隅にはUSJの絵が描かれていました。

校長:
「この絵も生徒が描いたものですね。実はよく見るとUSJがうつっていたり、これもしかしたら(大阪の)海遊館っていう話もあったので、最初のころ。水族館の風景かもしれないですね」

また、7月の保護者会では、修学旅行の参加確認書を配布しました。

校長:
「二手に分かれてますね。『ぜひ行かせてあげたい』っていう思いと、『どこかで感染してきたらと心配でとても行かせられない』っていう話をしてくれる保護者もおみえでした」

 約300人の生徒のうち、およそ2割が修学旅行への参加を諦めるという、異例尽くめの修学旅行です。

校長:
「すべて学校から持参をしていきます。例えばこれは非接触型の体温計。これは消毒用のエタノール、手指の消毒用です」

 子供たちの思い出作りか、それともリスク管理か。教育現場が揺れています。