三重県桑名市で自動運転による路線バスの実証実験が行われました。高齢化社会の中で地域住民の足となることが期待されています。

(リポート)
「運転手は座っているんですが、ハンドルを触らなくても左へ曲がっていきます」

 触ることなくハンドルが動き、交差点を左折。さらに赤信号を検知すると自動で停車。青に変わると再び走り出します。

 9月26日から3日間、桑名市の大山田団地で行われた自動運転バスの実証実験。

 バスに取り付けられたカメラやセンサーで、信号や障害物を認識するシステムで、この日は関係者や住民らおよそ60人が、2.5キロほどの区間で自動運転を体験しました。

試乗した住民:
「思ったより全然、人が何も触らんと動くんで、面白かったです」

別の住民:
「普通のバスより、僕は安全だと思う。人間だと、黄色だ行っちゃえとかありうるじゃん」

 この自動運転バスは群馬大学が開発したもので、すでに愛知県の長久手市や尾張旭市でも、導入に向けた実証実験が行われています。

 桑名市によると、大山田団地では高齢化が急激に進んでいますが、バスを使って移動している方が非常に多く、公共交通の必要性が高いため、実証実験の対象になりました。

 昭和40年代に開発された大山田団地は現在、人口は6500人余りで、およそ5人に一人が65歳以上ですが、この10年で高齢者の数が3倍から4倍になった地域もあるということです。

 最寄りの駅までは歩いて30分以上かかるため、1日200本余りのバスが地域の生活を支えていますが、ドライバーの高齢化などにより今後減便や廃止になることが心配されています。

試乗した住民:
「これから高齢者とか、特に車に乗れない方にとってはバスは貴重なものですから、早く実現すればいいと思いますけど」

別の住民:
「私も他人事じゃないので、ぜひぜひ早くという思いでいます」

 導入に向けては、走行中の障害物の回避などについても実証実験が必要ということで、市は今後も路線や道路環境の整備などと合わせて検討していく予定です。