冬に向けて懸念されているインフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行。今、このふたつが同時に検査できるという検査キットが注目されています。一体どのように検査するのか、実際に記者が体験しました。

 愛知県瀬戸市にある野田内科小児科医院。このクリニックが9月に導入した検査が、新型コロナウイルスとインフルエンザを同時に検査できるキット。

 症状のある患者は院内感染を防ぐため、別の入り口の前で体温測定や問診を受けてから検査に入ります。その方法は、綿棒を鼻の奥に入れるだけ。現在、広く行われているインフルエンザの検査と同じです。

 そして、検査結果を待っていると、わずか15分後…。

野田院長:
「では結果が出ましたので、説明しますね。インフルエンザは陰性でした、新型コロナも陰性でした」

 なんと、検査を始めてからわずか15分で、インフルエンザと新型コロナの検査結果が判明。なぜこれほど早く検査が可能なのでしょうか。

野田院長:
「PCRっていうのは遺伝子を増幅させる検査です。それに対してこれは抗原なので」

 実は、この検査はPCR検査ではなく「抗原検査」。結果が出るのに数時間はかかるPCR検査に比べ、「抗原検査」は短時間で結果が出るのが特徴。

 ウイルスの遺伝子を増幅させて調べるPCR検査とは異なり、体の中のウイルス量が少ないと感染していても陰性となる場合もありますが、野田院長は同時流行に備えるためにとても有効だといいます。

野田院長:
「(抗原検査で)感度が落ちたとしても、その人の鼻汁からはそんなにウイルスが出ていないということだから、もし仮に本当は陽性なのに陰性と出てしまったとしても、人に感染する能力はあまりないだろうなと。(インフルエンザとコロナは)見た目には全くわからない。まずはどちらかということを、検査していくしかないんだろうなと」

 同時流行の際に心強いこの検査キットですが、今はまだ、どこの医療機関でも受けられるわけではないといいます。

野田院長:
「9月に発売されたばかりなので。多分一年くらいでどこでも受けられる様になるんじゃないかなと」

 一方、新型コロナの検査について、21日愛知県の大村知事は…。

大村愛知県知事:
「季節性インフルエンザの流行期に備えて、1197ケ所の診療検査医療機関を指定いたしました。短時間で検査可能な抗原簡易キットを活用して進めてまいります」

 愛知県内、1197のクリニックなどで抗原検査を受けられる体制を整えたと発表。10月26日から始まります。

 徐々に検査のハードルが下がりつつありますが、野田院長は予防こそが最も重要だと話します。

野田院長:
「マスクをしたり手洗いをしたり、ソーシャルディスタンスに気を付けたりしているから、ここまできてるので。このまま収まっちゃうんじゃないかなと楽観してるかもしれないけど、多分そうではないだろうと。特にこの冬を越えるまでは、3密を避けるということ、絶対に守ったほうがいいです」

 ちなみに岐阜県では、すでに10月14日から県内423の医療機関で抗原検査に対応。一方、三重県は10月27日にも、検査体制について方針を発表する見通しです。