10月27日の東海ラジオ『ドラゴンズステーション』に、今シーズンで現役を引退した藤井淳志さんがゲスト出演し、まさかの「見逃し三振」に終わった現役最後の日の舞台裏を明らかにした。

 藤井さんは中日ドラゴンズ一筋で16年間プレーした生え抜き選手。まずは番組コメンテーターでプロ野球解説者の山崎武司さんから、「お疲れさん」と声をかけられ花束を渡された。

 話は引退試合での「最後の打席」に及んだ。引退試合で前代未聞の「見逃し三振」に倒れた藤井さん。「いまだにこれはちょっと、納得いっていない」として話し始めると、山崎さんは「際どいところは振れよ!」と鋭くツッコミ。

 藤井さんはあの場面について、「アウトになったら帰ってくるときに、拍手を浴びながらとか、空振り三振だったら悔しがりながらとかイメージはできていたが、全く選択肢になかったことが起きた。自分でストライクを見逃したと思ったらそういうリアクションができたと思うが、ボールだと思って見逃しているので、思わず『ワオッ!』と言ってしまった」と振り返った。

 また一打席なのか最後まで出るのか、出場の仕方を聞いていなかったと明らかにし、「三振した後、もう一打席あるのかなと思っていた」と当日の状況を説明。その後場内アナウンスでその打席が「現役最後」だったことを認識したという。

「まあでも、思い出に残るじゃん」となだめた山崎さんに、「結構後輩たちは泣く気でいたらしいけど、みんなひっくり返ったと大笑いになっていた。『うそでしょ!』と。でも『最後まで笑わせてくれたのは流石です』とも言われた」とさらに舞台裏を明かした。

 引退会見で「笑って終わりたい」と言った藤井さんは、ロッカールームに戻り「『笑って終わる』というのはこういうことじゃねえ!」と叫んだそうだ。

 当日のテレビ中継も、藤井さんのスピーチの途中で終わったことも話題になった。同じ日に引退試合を迎えた、山井大介さんのスピーチが予想以上に長かったためだという。藤井さんは「テレビ中継を延長してほしかった」と悔しがったが、球場に来てくれたお世話になった人たちから「良いスピーチだった」と言われたと話し、「高評価だったのでよかったかな」と振り返った。

 試合後、藤井さんは「僕も泣きたかったですよ」と山井さんに言うと、「俺の涙はおまえのせいで全部消えた。もう俺のことは誰も覚えてないぞ。すべて持っていかれた」と恨み節が止まらなかったそうだ。