アフターコロナのインバウンド需要を見据え、全日空のグループ会社と愛知大学が21日、共同で研究してきた「外国人が喜ぶおもてなし」について、成果を発表しました。

 全日空グループの「ANAあきんど」は、2021年9月から21年3月にかけ、愛知大学の有志の学生とともに、「外国人が喜ぶおもてなし」について共同で研究。

 共同研究は、ディスカッションのほか、中部国際空港でANAのキャビンアテンダントの出発前の打ち合わせや、チェックインカウンターを見学し、気遣いをしている点などを調べるなどして進められました。

 21日の発表には学生のほか、愛知や岐阜の観光関連事業者や経済団体の関係者らおよそ60人が出席し、学生らが新しいおもてなしのあり方として「日本の当たり前」について考え直してみることや、「マニュアル対応」の重要性を指摘したうえで、時には臨機応変に判断し、決まり事を超えた対応をすることの大切さなどのポイントを発表しました。

「日本の当たり前について考えなおす」ことに関しては、発表者の学生が「目上の人と飲酒する際は、相手の顔を見ないで横を向きながら飲む」という韓国の文化の例を挙げ、日本の感覚では違和感があることも他国では異なるかもしれないという前提で動くべきだと説明。

 こうした「カルチャーショック」への対応についてANAも自社の例を挙げ、日本の文化を学ぶ「茶道」の訓練では、正座の文化がない海外クルーのことも考慮し、足が伸ばせるよう、″掘りごたつ様式”になっている茶室で行われていることを紹介しました。

 また、訪日外国人が日本で期待している行動についてのデータを紹介し、1位の「日本食を食べる」に注目。日本の食と文化が伝わる「おせち」を正月の時期に限定せず、小鉢で自分で選ぶことができるサービスなどを新たな訪日の魅力として提案しました。

 参加した愛知大学の3年生の男子学生は、「1つのテーマについて深く掘り下げることで、様々な視点から考える力が身についた」と話し、別の3年生の女子学生は「将来は海外に関わる仕事に就きたいという思いから参加しましたが、積極的に意見を言えるようになった」と達成感があったようです。

 ANAあきんどでは、今回の研究を今後半年かけて約3時間の研修プログラムとして商品化し、観光業界や自治体などに販売していくことにしています。