将棋の藤井聡太五冠は、いよいよ今年度初の公式戦が始まりました。防衛戦となる叡王戦第1局の挑戦者は、最も勢いのある若手棋士です。

 五冠となって迎えた2022年度。最初の公式戦は「叡王」のタイトル防衛戦です。

 先手となった藤井五冠、今年度も「初手お茶」は健在でした。

 対戦相手は28日に誕生日を迎えた出口若武六段(でぐち・わかむ 27)。3年前にプロ入りし、藤井五冠のいわば後輩。とはいえ、将棋界でいま最も勢いのある若手棋士の1人です。

 23歳でデビューした出口六段ですが、プロ入り前の奨励会時代から頭角を現し、新人王戦の決勝戦に進出。すでに七段となっていた藤井五冠と対戦しています。当時、結果は出せませんでしたが…。

出口三段(当時):
「勉強し直して、またこういう大きな舞台で将棋が指せたらと思います」

 プロ入り後は藤井五冠と3局対局。2敗しているものの、直近の対局では勝利しています。

 さらに2年連続で勝率7割以上をキープするなど活躍中の出口六段に、藤井五冠も…。

藤井五冠:
「ここまでの対局を見ても非常に良い内容で勝ち上がってこられていて、勢いのある手強い挑戦者だと思っています」

 師匠の杉本昌隆八段は、藤井五冠の心境を次のように分析します。

杉本八段:
「今までのタイトル戦というのは挑戦であれ防衛であれ、格上というか、何となく本人の中では挑戦する意識だったと思うんです。今回は年齢的には藤井竜王の方が若いですけれども、はっきり若手の挑戦を受ける防衛戦という気をより強くしての戦いだと思います」

「年上の後輩」を迎え撃つ形となった今回の叡王戦。出口六段が序盤で前例のない手を指し、藤井五冠が考え込む場面も…。

 現在、対局はほぼ互角の状態で、まもなく終局する見込みです。