
明治用水の施設で起きている大規模漏水問題で、金子農水相は25日にも農業用水の試験的供給を始めると明らかにしましたが、全面復旧の見通しは立っておらず、各地で急場しのぎの対応が続いています。
大規模な漏水から8日目を迎えた明治用水頭首工。用水に水を送る仮設ポンプの数は114台に増加。
また右岸側は、黒い土嚢袋で完全に川の流れを堰き止めていて、穴のある左岸側では露出している川底の上で重機が稼働しています。復旧に向けた動きも加速しているとみられます。
土嚢を積んで川の流れを変えたりしたことで、漏水の原因とされる川底の穴があるとみられる周辺に「陸地」ができていました。
復旧作業が進んでいるようにも見えますが、明治用水では農業用水への供給が今も止まったまま…。
24日、金子農林水産相は会見で、農業用水の再開について言及。
金子農水相:
「農業用水の供給を再開する準備として、幹線水路及び末端パイプラインへの注水作業を順次実施しておりまして、早ければ25日中に試験的な通水を行う予定であります」
25日にも農業用水の試験的供給を始めることを発表し、地域ごとに日程を区切る形で水を供給する方針ですが、全面的な復旧のメドは立っていません。
農業用水の不足が続く中、安城市では独自で農家を助ける取り組みが始まりました。
明治用水の最も下流に位置する安城市藤井町では、24日朝から近くを流れる追田川の水をくみ上げ、用水路に供給する作業が進められていました。
安城市の担当者:
「頭首工が復旧するまで、農家さんのために何かできることをと考えて動いております」
安城市が独自で進める農家の救済策。愛知県はポンプの設置などにかかる費用を全額補助する方針を示していて、安城市も補助を申請する予定です。
この「独自給水」にはある特徴があるといいます。
農家の岩瀬さん:
「(水が)ここへ来て、これがずーっとあの森の方までいっとる」
川からくみ上げた水を、明治用水の本線ではなく枝分かれした「支線」に直接流すため、近くの農家がすぐに水を使うことができるといいます。
岩瀬さん:
「これだけでも(水が)来てくれりゃ、まだうれしい」
安城市でコメや麦などを育てる岩瀬正則さん。例年なら24日が田植えの日でしたが、水が足りず断念。
川からの供給量が増えれば、25日以降には作業にとりかかることができると期待しています。
岩瀬さん:
「遅れたにしても今年も田植えはやりたいので。希望というか、まぁやれるかなと思って」
一刻も早い復旧が求められる明治用水。急場しのぎの対策が続いています。