愛知県豊田市の明治用水の取水施設で大規模な漏水が発生した問題で6月2日、専門家らでつくる復旧に向けた検討委員会の初会合が開かれました。

 会合に先立ち現場の視察も行われましたが、復旧に向けた新たな取り組みは示されたのでしょうか。

 大規模な漏水が発生して2週間余りとなった豊田市の「明治用水頭首工」。

 2日は、東海農政局が設けた復旧対策検討委員会のメンバーで、河川工学の専門家ら6人が視察に訪れました。

 専門家らは農政局の職員から説明を受けながら、漏水の原因となっている穴のまわりや、穴に水が流れないように積まれた土嚢の状況などを念入りにチェックしました。

 穴の周辺は、水位こそ下がっているものの土嚢のすき間から水が流れ込んでいて、まだ完全に囲いきるには至っていない様子です。

 それでも漏れた水が激しく噴き出していた下流部分を見ると、以前と比べ、ほとんど水が出ていないことがわかります。

 着々と進んでいる復旧への道のり。一方で…。

(リポート)
「勢いよく田んぼに水が流れ込んでいます。今日もエリアを区切ってですが水が供給されています」

 農業用水は2日も地域を区切って、4日に1度の給水が実施されていました。

 安城市のコメ農家・成瀬浩司さん(63)。成瀬さんの田んぼにも本格的な給水の開始後初めて水が届き、ほっと胸をなでおろします。

成瀬さん:
「なんとかこれで当分はいけるんじゃないかという気がする」

 ただ、心配は尽きないといいます。

成瀬さん:
「今から梅雨に入って明けると毎日水欲しいです。3、4日に一度だと大変。それ(全面再開)だけがお願いですね」

「一刻も早い全面再開を」農家の切実な思い…。こうした中、午後から復旧対策検討委員会の初会合が開かれました。

 終了後の会見で委員会の石黒委員長はいわゆる「パイピング現象」で地中を通って水が流れたのではないかとした上で、頭首工の老朽化が漏水を引き起こした可能性があると指摘しました。

 本格的な復旧については農水省の担当者は「できるだけ早く着手する」と時期を明言しませんでした。