三重県南伊勢町の町立病院で、男性職員の着服が発覚しました。総額は1億5000万円で、使い道は「ゲームの課金とアイドルのグッズなど」でした。

 問題が発覚したのは町立の南伊勢病院。会計を担当していた38歳の男性職員が、2019年からの3年間に患者が支払った診療費などを着服していたといいます。その金額は1億5000万円以上。

 6月7日に、町が病院の2021年度の決算書類を確認していた際に、使途不明金があることが発覚し、男性職員を問い詰めると…。

<男性職員>
「私がやっていました。これ以上言い逃れできないと思いました」

 あわせて1億5000万円あまりを着服したことを認めたといいます。男性職員は、患者が支払った診療費を入金する際に、全額を入金しなかったり、病院の通帳から勝手に現金を引き出したりしていたといいます。

 そして、その金の使い道は驚くべきものでした。

<男性職員>
「インターネットゲームの課金と、アイドルのグッズやコンサートに使った」

 どんな使い方をしたら、ネットゲームとアイドルに1億5000万円も使えるのか…。

南伊勢町の担当者:
「インターネットゲームの課金とかアイドルグループに使ったと言っておりますが、そのお金がそれに消えていくということが理解できない状況でございます」

 男性職員は、町の上下水道課に勤務していた2019年3月までにも少なくとも500万円を着服していたとみられ、被害の総額はさらに膨らむ可能性があるといいます。

 明らかになった多額の着服に、病院を利用する人は…。

利用者ら:
「本当にびっくりしましたね。穏やかな村でしたので。ギャンブルとか遊び事には自分の範囲内でしてほしいですね」

「誰だって腹が立ちますよ。こんなところでそんなこと、ショックです」

「赤字だってのにひどいことするなって」

 南伊勢病院は赤字経営となる年もあり、3年前に厚労省から「診療実績が少ない」などとして、再編や統合の検討が必要な病院に挙げられていました。

 経営改善が求められている中で起きた巨額の着服。なぜ気づくことができなかったのでしょうか。

南伊勢町の担当者:
「会計担当は(男性職員)実質1人でやっていたことと、月末において帳尻を合わせる仕分けをして、月末の現金残高がこの数字であったかのうように見せかけておりました」

 会計を男性職員が1人で担当し、帳簿の数字を操作していたため、会計監査などでも気付かなかったといいます。

 男性職員は弁済の意思は示しているものの、これまでに町に渡したのはわずか100万円あまり。着服された金の大部分は今も返還されておらず、町は近く刑事告訴する方針です。