物価高で苦しむ学生を支援しようと、名古屋の大学が学食のメニューを格安で提供する取り組みを始めました。自治体では、物価高対策として住民に商品券などを配るところも相次いでいます。

 大きめの野菜が入ったカツカレーに、具だくさんの醤油ラーメン。ボリューム満点のランチを提供しているのは、名古屋学院大学の学食です。

 長引く物価高に苦しむ学生を支援しようと、父母会と大学が価格の一部を負担し、通常500円のメニュー4種類を200円で提供しています。

 それぞれ1日70食ずつで、16日までの期間限定です。

女子大学生:
「(普段は)あまり来なくて、(今日は)『学食食べよう』と思って、安かったので。安いし美味しいです」

男子大学生:
「200円というのは金欠の身からしたら助かります。とりあえず今週はもう毎日来ようかなと思います」

名古屋学院大学財務課の担当者:
「学生を対応する窓口の方には、金銭的に困っているという声は届いていると伺っております。食費に限らず学費の方でも、奨学金を用意して対応している部分もあります」

 物価高に苦しむ住民を支援する取り組みは自治体でも…。

 愛知県岩倉市が打ち出した支援策は「米」。米と引き換えられる「おこめ券」を、市内全ての世帯に1世帯あたり10キロ分配る計画です。

岩倉市総務部秘書企画課の担当者:
「まずは家計ということを考えた時に、日本人の主食であるお米がやっぱりまずは必要不可欠なのかなというところで」

 おこめ券は全国どこでも使えますが、岩倉市内で使うとさらにお得になる仕掛けも…。

岩倉市総務部秘書企画課の担当者:
「実は岩倉市内のお店でギフト券を使ってお米と引き換えていただくと、岩倉産の地場野菜などがあたる『地産地消キャンペーン』を合わせてやろうと思っています」

 国の新型コロナ対策の地方創生臨時交付金8100万円余りを転用して行うというこの取り組み。自治体が直接、住民を支援する取り組みは他にも…。

 岐阜県笠松町では、国の地方創生臨時交付金3500万円を流用し、町内全世帯に町内で使える5000円分のクーポンを配布しました。

古田笠松町長:
「選択肢としては現金もあるんですけど、現金ですとまず一つはどうしても貯蓄に回ってしまうところもありますし、笠松町は比較的商工業者が少ないところですので、よその市や町で使われてしまうと地域に還元できないということもある」

 さらに町指定ゴミ袋を無料で配布したほか、水道の基本料金の免除や学校給食費の半年分免除など、生活に直結した支援を続々と進めた笠松町。

 家庭への支援と同時に地域経済の活性化につながる取り組みに、町民からの評判も上々です。

 自治体による相次ぐ物価高支援。専門家は…。

名城大学の昇教授:
「元々は新型コロナ対策(の交付金)ですから、それを物価高対策に、たまたまここにお金があるから使っていいですよというのは、本来の税金の使い方としては有権者の納得が得にくいんじゃないかなと思います」

 ただ、そもそも国が行うべき対策を地方に「丸投げ」するのがおかしいと指摘します。

名城大学の昇教授:
「(今回の物価高は)原因が海外にあるんですね。本来は国で対処すべき物価の問題を、自治体にバラバラにやってもらうというのは問題が多いのではないかなと思います」