
コンサートでリズムに合わせて縦に体を上下させる運動、通称「縦ノリ」による激しい揺れを軽減させるシステムが開発されました。
愛知県長久手市のとある試験場で、5人の男性が一列に並び、揃って縦に跳ねる動きをしています。

日建設計・構造建設グループの担当者:
「ジャンプしたような状態ですね、そういった加振に対しても防振効果があるのかどうかを確かめる実験も行っております」
行われていたのは、人の上下運動で生じる揺れを軽減させる装置「防振架構」についての実験です。アーティストのライブ会場で、音楽のリズムに合わせて縦に体を上下させる運動、通称「縦ノリ」による揺れを減らすのが狙いです。
【動画で見る】トランポリンと同じ原理で…ライブハウス等の観客の『縦ノリ』 で発生する激しい揺れを軽減するシステム開発

大規模ホールやライブハウスなどで行われることが多い「縦ノリ」は、周辺の建物で震度3相当になることもあり、禁止されている会場もあります。
開発した日建設計によると、5000人がジャンプした時に発生する力はおよそ520トンにもなりますが、今回開発した防振架構にすると、85%減の68トンほどまで力を抑えることができるといいます。

日建設計・構造建設グループの担当者:
「周囲に力を伝えないために、あえて柱を取り除いて長くて小さい梁で設計することを考えました。つまり非常に柔らかい床を作ると」
通常の建物と異なり、あえて柱を取り除き梁を小さくすることで、床を柔らかくする構造にしたのが防振架構です。

この仕組みは、トランポリンの上で飛び跳ねても床に振動が伝わりにくいことと同じ原理です。

実際に縦ノリをしてみると、防振架構にあたるトランポリンの有無で、揺れに大きく違いがあることがわかりました。

日建設計・構造建設グループの担当者:
「コロナが収束に向かい始めている中で、クライアントからも『こういうホールは必要だ』いうことで、仕事の依頼も実際に受け始めております」
揺れを巡るトラブルを防ぐ新たな技術は、徐々にアーティストのコンサートが再開される中、ライブ会場の新たなスタンダードになるかもしれません。