
愛知県西尾市に手軽に美味しく調理ができると評判の「干物」と「煮魚」を販売する店があります。市場から仕入れたばかりのアジやヒラメなどを、中骨を外し食べやすいように加工した干物や、電子レンジで加熱するだけで食べられる甘辛く煮付けたマダイなどが人気です。
■たくさんの人に魚を食べてもらいたい…手軽に調理可能な干物と煮魚が評判の店

愛知県西尾市の西尾市役所から南へ1キロの所に、干物と煮魚が評判の店「さかなや」はあります。
【画像20枚で見る】地元で評判の電子レンジで加熱するだけの「煮つけ」やフライパンで手軽に焼ける「干物」

市場で競り落とした鮮魚も並びますが、この店の看板商品は干物と煮魚です。アジやカマス、アナゴといった定番に加え、旬のマダイの干物もありました。

マダイをまるごと使った煮魚は、電子レンジで加熱するだけで食べられます。
女性客:
「干物がおいしいので、買いに来ました」
別の女性客:
「お値段も安いし、一度食べてみてすごくおいしかったので」

作っているのは、魚の仲卸業者の社長の田中佐登美さんです。3年前にこの店をオープンすると、その手軽さと美味しさから、地元の主婦はもちろん、遠方からも客がやってくる人気店に。
田中さん:
「最近、若い人で魚を触りたくないとか…。骨がのどに刺さる、それで魚が嫌いになったとか。だったら柔らかくしちゃえば食べられるかなと」

田中さんは、干物であればたくさんの人が手軽に魚を食べられると考案しました。
■市場の競りに参加して20年…亡くなった夫の後を継いで仲卸会社を営む

午前4時前、西尾市一色漁港にある「西三河漁協」に田中さんの姿がありました。田中さんは亡くなった夫の後を継ぎ、仲卸会社「カネタ水産」を切り盛りしています。

市場の競りに参加して20年、魚の目利きは同業者に引けを取りません。この日、目を付けたのは旬のマダイやヒラメや高級魚のオコゼなど。さらに、黒シタビラメや夏においしいというマゴチなどもありました。
田中さん:
「日本全国でも魚種の多い所で、深海で獲れるやつから、内湾で獲れるやつまでいろいろある」

この漁港には、500種類以上の魚が揚がるといいます。
■「魚は面倒」という人にも簡単…フライパンで煙少なく焼けるこだわりの干物

午前5時、市場に隣接する「三河一色さかな村」へ。ここに田中さんの会社の加工場を兼ねた直売所があります。

仕入れたばかりの「カワハギ」(2匹600円)に、「キス」(20匹400円)など、お値打ちな鮮魚を求め朝早くから人がやってきます。

田中さんは、販売が一段落すると干物や煮魚の加工を始めました。旬のマダイを干物にするため、まずは頭と内臓を取り、食べやすいように中骨も外します。

醤油ダレをつけ、機械で2時間ほど乾燥させたら完成です。
田中さん:
「ソフト干物って呼んでいます。半生状態で、水分を多く含んで柔らかく食べられるように」

焼いた後に掃除が大変なグリルではなく、フライパンで調理ができます。フライパンで焼くと、煙も少なく、部屋に匂いが付きにくいといいます。
田中さん:
「フライパンで焼ける方がお手軽。白身でクセがなくておいしいですよ。ふわふわしています」

水分を多く含んだ状態なので、身はふっくら。マダイの上品な旨味が口の中に広がります。骨がなくて食べやすく、「魚は面倒」という人でも手軽に楽しめます。
■スーパーなどでは売っていない珍しい品揃え…「ぼら」や「さめ」などおよそ20種類

干物は「三河一色さかな村」の直売所ではなく、そこから10キロほど北にある名鉄西尾駅近くの店「さかなや」で販売しています。

定番の「ひらあじ」(486円)に「銀穴子」(486円)など、およそ20種類が並びます。一番人気は、「まだい」(486円)です。

「ひらめ」(518円)や「ぼら」(421円)の干物もあり、「さめ」(421円)もありました。他にはない品揃えも自慢です。

男性客:
「珍しいですよね。スーパーでは売っていない」
女性客:
「中骨がないのって珍しい。日持ちもしそうですしね」
もう一つの看板商品が、3種類揃う「煮魚」。特に目を引くのは「真鯛の煮つけ」(626円)です。

甘辛く煮付けたマダイは真空パックになっていて、袋ごと電子レンジ(500W)で3分加熱するだけ。簡単に本格的な魚料理が食べられます。

高圧で蒸してから味付けしてあるため、頭から尻尾まで全て食べることができます。ふっくらとした白身に甘辛い醤油ダレが絡んで、ご飯が進みます。
■もっと地元の魚を食べてもらえるように…魚への情熱から海鮮料理店も運営

田中さんは、魚離れを危惧し、3年前に干物と煮魚を販売する店を始めました。
田中さん:
「いろんな魚が揚がりますので、地元の魚をもっとたくさんの人にも食べてもらいたいと思っています」

田中さんはもう一軒、飲食店もやっています。「さかなや」の隣にある料理店「ぽわそん」です。

市場で競り落とした魚を使った料理が自慢で、「刺身Set」(1870円)にはマダイやヒラメなど旬の魚9種類が入っています。

醤油、みりん、酒でじっくり煮込んだマダイを一尾丸ごと使った「煮魚Set」(1540円)も、食べ応え満点で人気です。

干物や煮魚を販売する「さかなや」とすぐその隣の海鮮料理店「ぽわそん」は、名鉄西尾駅の近くにあります。