電子書籍やネット通販の台頭により厳しい街の書店。全国に2万店以上あった書店は、この20年で1万店あまりに減少し、今1日で1軒の書店が消えています。

 出版社と書店を繋ぐ取次の仕事をしていた時に、新刊の4割が売れ残り返品される現実に疑問をもった29歳の女性が、商店街にユニークな本のセレクトショップを開きました。街の個性的な本屋さんが私たちの未来を作ります。

■生活の中の句読点になりたい…築50年の商店街の物件を改装して開いた書店

 名古屋市の金山総合駅から歩いて10分の沢上商店街。2021年に、一軒の書店がオープンしました。小さなお店はいつも賑わっています。

【画像20枚で見る】フラっと立ち寄れる生活の中の句読点のような存在に…商店街の個性的な書店

 店主の古賀詩穂子さん(29)は、クラウドファンディングでおよそ400万円を集め、築50年の物件を改装しました。生活の中の句読点になりたい…。お店の名前は、「TOUTEN BOOKSTORE」(トウテンブックストア)。

古賀詩穂子さん:
「30年以上前、時計屋さんがあって、6年くらい前に大家さんが変わって…。天井もはがされた状態だったんですけど、雰囲気あるのでそのままにしたり…」

 食にまつわるエッセイ、大好きな猫の本、社会問題や、外国の児童文学…。

 愛知県産の杉を使った特注の本棚には、古賀さんのセンスで選んだ本が並びます。

■新刊の4割が返品される現実…取次時代の経験をきっかけに書店を開店

 古賀さんは、以前は出版社と書店を繋ぐ取次の仕事をしていました。日本では1日あたり200冊の新刊が出ていますが、4割ほどが売れ残り出版社に返品されるという現実を見てきました。

古賀さん:
「無駄なものはなるべく入れなかったりとか、ロスを出さないような仕組み、サステナブルなお店の経営をしていくにはどういう方法がいいかっていうのは今も模索をしている」

 お客さんに教えてもらったという雑誌「IWAKAN」。生きていく中でのちょっとした違和感にフォーカスしている雑誌です。名古屋ではこの店にしかないこだわりのセレクトです。

古賀さん:
「問題意識だったり、共感しあえる人とかもいらっしゃるので、売れるだろうなと思って」

■街の書店の在り方を模索…本屋に行きたくなるフリーペーパーを発行

 本屋さんに行きたくなる本「読点マガジン」は、古賀さんが作ったフリーペーパーです。

古賀さん:
「いろんな本屋さんに取材をして、本屋の経営とか運営で大変なところとか、楽しいところを書店員に聞きまくるという内容です」

 古賀さんは、20年、30年続く書店を作りたいとこのフリーペーパーを作りました。店の中にカフェも作りました。ここは街の憩いの場です。

古賀さん:
「気分切り替えられたり、背筋伸びたり、頑張ろうって思ったりとか…。こういう場所って街に必要だよなと思っていて」

「ふらっと来られる、生活の中の読点になりたい」と古賀さん。街の本屋さんが、私たちのミライを作ります。