名古屋市中区の名店「焼肉 眞佐可」が初めてのれん分けを許した店が、2021年2月に名古屋駅にオープンしました。

 コロナ禍でのオープンで厳しい船出でしたが、本店から受け継いだ昔ながらの味を守りつつ、開発したユニークな冷麺などのオリジナルメニューは、人気となっています。

■伝説の店「焼肉 眞佐可」から初めてのれん分けを許された店が名駅にオープン

 名古屋駅から北に徒歩10分の所にある「焼肉 眞佐可(まさか)名駅店」。

【画像20枚で見る】伝説の店『焼肉 眞佐可』初めてのれん分け許された新店のコロナ禍の奮闘

この店は、名古屋に訪れた数々の著名人をうならせた、昭和48年創業の伝説の店「焼肉 眞佐可」が、初めてのれん分けでオープンさせた店です。

 筋が少なく最もやわらかい肉といわれるヒレや上ロースは、霜降りでジューシー。本店から受け継いだ秘伝のタレでいただくお肉は、とろけるような食感です。

男性客:
「やわらかくて、すごくおいしかったです」

別の男性客
「タレもとっても美味しい。クセになるご飯が進む味です」

「眞佐可」のファンの名駅店のオーナーは、のれん分けを懇願し続け、8年越しで許可が出ました。そして、その店の調理を任されたのが、名駅店の店主・井上民也さんです。

井上さん:
「めちゃくちゃおいしいですよね。これだったら(味を継ぎたい)と思って」

 井上さんは、「眞佐可」本店で2年間修業を積み、2021年2月に初ののれん分けのお店をオープンさせました。

■レシピを知るのは3人だけ…修行中に覚えた秘伝のタレの作り方

 本店の味を継ぐ中で、命とも言えるのが焼肉のタレです。そのレシピは企業秘密です。

井上さん:
「レシピはありますね、この中に…。誰にも言えない僕だけの秘密のノートです」

 本店修業時代に見て覚えたという秘伝のタレ。そのレシピを知っているのは、本店のオーナーや井上さんなど3人だけです。

 タレは、醤油ベースながらさっぱりとしてフルーティー。それにゴマで香ばしさを加えています。

■焼く直前に自家製味噌と秘伝のタレで“もみ込み”…再現された本店から受け継いだ味

 お肉は本店と同じ店から仕入れたA4ランクの国産牛を使います。食べやすさとやわらかさを出すために、余分な脂や筋を丁寧に切り離し、美しい赤身のヒレ肉に。一般的にはタレなどで味付けをしますが、下準備ではやらないのが「眞佐可」流です。

 午後5時にオープン。客自らが注文を紙に書くのも、本店と同じスタイルです。

注文が入ると、井上さんはヒレ肉をカットし始めました。

井上さん:
「(事前に切っておくと)おいしさが逃げたり、酸化して黒くなったりとかあるので…。直前で切るように…」

 約3ミリにカットした肉に、自家製の味噌や秘伝のタレなどを加えていきます。そして、味を左右するのが“もみ込み”。肉の中までしっかり味をしみ込ませます。

井上さん:
「もみすぎてもダメだし、手の温度があるのであんまりやるとお肉の脂が溶けちゃうので難しいですね」

 もみ込むこと約30秒。時間はかかりますが、これが多くの人をうならせてきた「眞佐可」の味。本店の味を再現した一番人気の「ヒレ」(1980円)。門外不出のタレの味が中までしっかりしみ込んでいます。

 ミディアムレアに焼いたヒレ肉を、秘伝のタレにくぐらせ口の中へ。肉とフルーティーなタレが絶妙にマッチし、極上の味を生み出します。

女性客:
「ちょっとフルーティーな感じで、あまり脂っこくなくてすごく食べやすかった」

男性客:
「全然本店と一緒ですね。味は遜色ない」

 再現された本店から受け継いだ味の評判は上々です。

■コロナ禍のオープンで厳しい船出も…オリジナルメニューに挑戦など奮闘

 コロナ禍の中でのオープンは、やはり影響もありました。

井上さん:
「通常でしたら、もうちょっと(客が)来てもいいかなと…。コロナ禍なのでなかなかですけど、それでも少しずつ伸びているような気がします」

 もっとお客さんに楽しんでもらいたい。井上さんは、本店へのリスペクトを守りつつ、修業した経験を活かし「ハラミ」(1580円)や「上ねぎ塩タン(ねぎ後のせ)」(1980円)など名駅店のオリジナルメニューも開発。昔ながらの味は守りつつ、新たな味に挑戦しています。

 7月から始めたユニークな新メニューが「そうめんの韓国冷麺風」(980円)です。モチモチの食感が特徴で、徳島県産の「手延べ半田そうめん」を使用。さっぱりとした白ダシベースのタレをかけ、きゅうりにキムチ、ゆでたまご、ピリカラの肉味噌をのせました。

 つるっとした喉越しの良さとさっぱりとした味付け。そして、冷麺よりモチモチした麺の組み合わせは、他にはない新しい焼肉のシメになると女性客を中心に人気になっています。

女性客:
「珍しいですよね。夏っぽいです」

井上さん:
「この味を残しつつ、時代も新しくなってきているので新しいものは取り入れることで頑張ろうかなと思っています」