愛知県弥富市の中学校で11月24日、3年生の男子生徒が同学年の男子生徒に刺され死亡した事件で、14日、男子生徒の勾留期限を迎えました。未成年による犯行のため、家庭裁判所に送られ審判を受けることになります。

 14日の送致を受けて、家庭裁判所は観護措置の手続きを取ります。

 殺人事件の場合は最大で8週間で、すでに14日から2週間の観護措置が決まっています。この間に、裁判所では心理学などの専門知識を持つ調査官が、本人や両親などから話を聞きながら心や体の状態や原因を調べます。

 その後、審判で、矯正教育を受ける少年院への送致などの保護処分か、成人と同様の刑事処分が相当として検察に逆送するかなど、男子生徒に対する処分が決められます。

 今後、家庭裁判所の調査を受けることになる男子生徒ですが、事件後まもなく教育委員会の会見などで明らかになっていた内容は以下の通りです。

 まず男子生徒は、中学2年生だった今年2月、学校のアンケートで「いじめられたことがありますか?」との質問に「ある」と答えていました。

 去年9月に行われた生徒会の選挙で、被害生徒から強制的に応援演説をさせられたことなどが嫌だったと明かしています。

 これを受けて学校側は指導を行い、その後、男子生徒は聞き取りに対して「今は落ち着いています、大丈夫です」と答えたため、3年生になるのを機に二人を別々のクラスにし指導も終えました。

 しかし、進級してからおよそ8か月後、11月14日からの修学旅行で、男子生徒は禁止されていたスマートフォンの持ち込みが見つかります。被害生徒とスマホの一件は関係はありませんが、男子生徒は逮捕後の警察の調べの中で、修学旅行での一件を受けて「全てのことがどうでもよくなった」などと話しています。

 そして、修学旅行から戻るとインターネットで凶器となる包丁を購入。11月24日に犯行に及びます。

「息子を逆恨みした犯行ならやりきれない」中3刺殺事件 被害生徒の両親が胸の内明かす「一生かけて償って」

 捜査関係者の話でも「典型的ないじめは見つかっていない」という男子生徒。どの様な気持ちの変化があり犯行に及んでしまったのか…。事件後の「被害生徒の言動に嫌な思いはしていた」という趣旨の供述から、心の変遷を垣間見ることができます。

 明確なトラブルなども判明していない今回の事件。捜査関係者の1人は「少しずつ積もった物が修学旅行での一件で溢れ出た可能性もある」と話しています。

 男子生徒の心の変化について、今後は家庭裁判所が詳しく調査していくことになります。