まさか自分がコロナ病棟で働くとは…。異色の経歴を持つ2年目の女性看護師が、自らが経験したコロナ禍について話しました。

 看護師・野田尚子さん、36歳。彼女が勤めるのは、愛知県が新型コロナの「重点医療機関」に指定する藤田医科大学病院。

 今はコロナ患者は1人もなく、日常が戻った病棟ですが、第5波の際には病室が全てコロナ患者とその疑いのある人で埋まっていました。

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野田さん:
「まさか自分がコロナの病棟(の担当)になると思っていなかったので、最初は正直驚きましたけど。実習とかでは一般病棟にしか行ったことがなかったので、(コロナ病棟は)すごく異様なものに思えた」

 野田さんは看護師になってまだ2年目。大学卒業後、最初に就職したのは航空関連の会社。結婚し出産を機に退職して、専業主婦になることを決めていました。しかし…。

野田さん:
「息子が出産のときに未熟児で生まれて、その時に看護師の方や先生に命を助けていただいて、看護師さんってすごいなって」

 31歳の時に新たな道に進むことを決意。去年4月、看護師となりました。コロナ下での出発、思い描いていた医療の現場と現実は違いました。

野田さん:
「最初に入ったときには、コロナの患者さんもいて自分の思っている看護じゃなかったという思いとか、コロナだからできないことがたくさんあったんじゃないかなと思っていたんですけど」

 2021年もコロナウイルスに翻弄された1年でした。感染者数が落ち着いては、しばらくしてまた増える、終わりが見えない状況…。

 野田さんは1人で8人ほどの軽症患者を担当。看護師はどの職種よりもベッドで患者と接するため、防護服を着て走り回りました。

 普段なら業者に任せているシーツの取り換えから、患者が使うトイレの掃除も担当しました。1人退院してはまた1人、息つく間もありませんでした。

 しかし、退院した人たちからの手紙が励みとなり、乗り越えてきたといいます。

野田さん:
「コロナで精神面でも日常生活でも体力的にも大変なことがすごくいっぱいあったんですけど、その大変な時をここで過ごせたので、すごく色々気が付くこともあって、ありがたみを感じる機会がすごく多くありました」

 今は、必ず来ると言われる新型コロナ第6波に向けた束の間の時。

 医療従事者向けの3回目のワクチン接種も始まり、オミクロン株の新たな脅威が差し迫る中、野田さんの意識は次に来る波に向かっています。

野田さん:
「すごく貴重な経験をさせてもらっていると思っているので。第6波と、この後どうコロナが収束するか分かりませんけれど、頑張って努力して、コロナ収束の一翼を担えるような看護師に成長していきたいと思っています」