1月8日、JR東海道線の列車内で、男が乗客に対し「俺はコロナだ」などと言いふらし、威力業務妨害の現行犯で逮捕されました。

 逮捕されたのは、住居不詳・自称アルバイトの20歳の男で、その後のPCR検査の結果、陽性が判明したということです。容疑者の男は無症状で、感染していたことを認識していたかはわかっていません。

 警察の調べに対しては「コロナのご時世だから隣に座ってほしくないと言っただけ」と容疑を否認しています。

 この電車に乗り合わせていた17歳の高校生から話を聞くことができました。

 事件は愛知県のJR豊橋駅から岡崎駅に向かう東海道線の車内で起きました。目撃者の高校生は、容疑者の後ろの席に座っていたといいます。

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高校生:
「(容疑者は)前の席に足を伸ばしていて、隣が空席でそこにでかいバッグをのっけて、前の席にお土産袋を置いたりという感じで占領していました」

 その様子を高校生も不審に感じていたそうです。そして…。

高校生:
「『小倉まで帰りたいんですけど、お金がないので100円でもいいから寄付してもらえませんか』みたいなことを話しかけられたので、『ちょっとそういうのは…』って断ったんですけど」

 容疑者はこの高校生以外にも乗客に金を無心するも、断られ続けたそうです。すると…。

高校生:
「だんだん容疑者が怒ってきちゃったみたいな、みんなに聞こえるような声で舌打ちしたり、小魚とピーナッツのお菓子を(壁に)投げるみたいな感じで」

 そして…。

高校生:
「確か、若い男の人に声をかけたときに、断った後、急に突っかかってきて『俺はコロナだぞ』みたいな会話が出てきました。脅していましたね」

「俺はコロナだぞ」と乗客を脅していたという容疑者。

高校生:
「結構怖くて。『俺はコロナだぞ』って言った後、(岡崎の前で)一駅停まって、その時にみんな降りていく人が多い印象はありましたね」

 高校生はトイレに行くふりをして移動し、車掌に伝えました。

高校生:
「岡崎駅で車掌さんが容疑者のところまで来て。会話が長かったので、業務放送で『駅員行きます』みたいな放送がかかりました。『駅員出動します』みたいな。男3人で優先席を封じ込めるような形で立って、ちょっと降りましょうみたいな」

 電車から降ろされた容疑者はその後、駆け付けた警察官に現行犯逮捕されました。この事件の影響で、列車に15分の遅れが発生しました。

 高校生は連休を利用して埼玉から四日市まで旅行していましたが、その後、警察から電話があり、容疑者が新型コロナウイルスの陽性だったことを伝えられたということです。

高校生:
「警察から電話がかかってきたときはちょっとびっくりして。『容疑者が陽性だったので、濃厚接触者になる可能性があるので自宅待機してください』と」

 高校生は旅行を途中で切り上げ自宅に戻ることに。帰宅後は学校も休み、家族と接触しないようテープで境界線を引き、PCR検査の結果が出るまで自宅待機したといいます。そして14日、ようやく陰性とわかりました。

高校生:
「バイトも休まなくちゃいけなくなったりとか結構痛いですね。コロナだとわかってたんだったら、もうちょっとおとなしくしていてほしかった。ちょっと許せないですね。予定していた旅費とかも全部返してもらいたいぐらい」

 もし、コロナの感染者が容疑者だった場合、警察はどのような対策をとっているのか、愛知県警に聞きました。

 留置場は複数入れる部屋でも単独で使うようにして、取調室は陽性者と陰性者を区別して設けたり、パーティションで仕切ったりしているといいます。留置場も含め、接するときはタイベック防護服を着て行っているということです。

 こうした対策をすることで、思うように調べが進まないという苦労もあるといいます。

 また、元埼玉県警の犯罪コメンテーター・佐々木成三さんは「各警察署で対応は若干異なるが、逮捕された場合、全員のコロナの検査を行うなど、各所で手間が増え業務に支障をきたしている。また、チームで動くことが多いため、一度感染者が出ると広まりやすく、感染対策はとにかく徹底している」と話していました。