ウクライナの首都キエフへはロシア軍がじわじわと迫っています。キエフの西側を封鎖しているロシア軍ですが、さらにキエフへ向かう軍の車列が64キロに及んでいることが確認されました。

 そして、3月1日に狙われたのはキエフの「テレビ塔」。ロシア軍がミサイル2発を撃ち込み5人が死亡しました。アメリカの国防総省がアメリカ政府関係者に行った説明では「5日以内にキエフが陥落する可能性が高い」という分析を示していることがわかりました。

 今、厳しい状況に置かれているキエフですが、名古屋と「バレエ」で深くつながっています。ゆかりがある名古屋のバレエ関係者の想いとは…。

 名古屋駅近くにある「越智インターナショナルバレエ」。

越智さん:
「こちらと向こうのブルーのがキエフで行われた時の記念のポスター、この2つが日本で公演した時のポスターです。(キエフのバレエ団には)家族のようにしていただいています。なので今こういうことになって、すごく心が痛いです」

 ウクライナへの思いを語るのは、代表を務める越智久美子さん(62)。

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 越智さんが1991年に首都キエフで公演を行ったことをきっかけに、キエフのバレエ団と30年近くにわたり交流を続けてきました。

越智さん:
「キエフのダンサーさんや教師の方を招いて合同で舞台をつくったり、レッスンを行ったりしてきました。日本での公演は、私たちが主催する公演にキエフのダンサーが10名近く来日してくれました」

 コロナが蔓延する2019年までは、毎年キエフからダンサーを招いて大々的に行われていた日本公演。

 しかし、そのキエフは今…。

 3月1日、ロシア軍がテレビ塔にミサイル2発を撃ち込み5人が死亡しました。ロシア軍の侵攻はキエフから芸術も奪いました。

越智さん:
「現地のダンサーさん達に話を伺ってみると『もう外には出られない』『劇場もクローズになっている』と。今まで劇場がクローズになったことないんです。なので相当ひどいことなんだなと思って。そして『サイレンが鳴るとすぐに避難しなきゃいけない』って。映画で見たような光景で、本当に戦争が始まっていると思うと本当に残念です」

 また、越智バレエ団主催の日本公演では、ウクライナだけでなくロシアのダンサーも共に舞台に立っていたといいます。

越智さん:
「ロシアからも来ることがありますし、ウクライナから来ることもあります。みんな一緒に踊りますね。バレエの世界ではみんな家族なんですよ、ウクライナもロシアもベラルーシも。だからそこ、こういうことになっているのは本当に残念」

 長年交流があるロシアのウクライナへの侵攻。状況が激化する中、越智さんは一日も早く平和が訪れることを願います。

越智さん:
「一日も早く止まってほしい、止めてほしい、戦争を。もちろん私たちは(ロシアもウクライナも)大きな家族だと思っているので、お互いに連絡を取り合っていますから、これでコロナが落ち着いて戦争も落ち着いて、来られる日があれば、また日本で2019年以前のような活動を続けていきたいと思います」

※画像と動画の一部は越智インターナショナルバレエ提供