知床沖で、乗客・乗員26人が乗った観光船が遭難した事故から3日。東海3県では、船の安全対策を再確認する動きが出ています。

 愛知県・知多半島の師崎では…。

(リポート)
「今、中部運輸局の職員が観光船の中に入っていきます」

 南知多町の師崎港では、午後から中部運輸局の職員らが名鉄海上観光船への緊急点検に入りました。

 点検が行われたのは、知床で遭難した船とほぼ同じ大きさの19トンの観光船。普段は篠島や日間賀島を結び、観光のほか「住民の足」にもなっている船です。

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 まず確認されたのは「浮器」と呼ばれる救命道具。

中部運輸局の職員:
「(出航時は)波も穏やかで問題ないということで、(海に)出たら急激に天気が悪くなる可能性もあって、どういう風に判断している?」

名鉄海上観光船の職員:
「事前に天気予報を見て、雲の流れとか」

中部運輸局海上安全環境部の監理官:
「海の状況が(知床と)中部の状況とは全く相違するわけなんですが、人ごとではなくて連休は旅客が増えますので、それも踏まえてより確実に(運航を)行っていただきたい」

 そして津市では、中部国際空港を結ぶ旅客船「津エアポートライン」に26日午前10時半ごろ、中部運輸局の職員ら5人が緊急監査に入りました。

中部運輸局三重運輸支局の運航労務監理官:
「運航の可否の判断、それから非常の際の脱出の経路が確実に確保されているかどうか、監査いたしました」

 さらに鳥羽市では、鳥羽海上保安部と警察が合同で、遊覧船の運航会社志摩マリンレジャーに安全指導。

 救命胴衣など安全設備の備え付けなどを点検しました。

中部運輸局鳥羽海事事務所の所長:
「今一度、『安全を最優先にしていただく』ということを皆さんに周知しております」

 一方、熊野灘に面した熊野市松崎港。

 ここでは遊覧観光が人気で、世界遺産に登録された「鬼ケ城」や…。

 海面がエメラルドグリーンに澄んだ「青の洞窟」など、熊野灘の絶景を巡るツアーが運航されています。

 約70分かけて回るツアーを運航する「まるせいまる」。知床で遭難した船より一回り小さい4.9トンの遊漁船です。

 年間およそ1100人の観光客が訪れるといいますが、26日は「運休」。

まるせいまるの畑中さん:
「(予約が)3人いたけどキャンセルになりました。雨が降るからでしょう」

 この海で遊漁船の営業を始めて40年になる畑中さん。昨年度、悪天候などで80回キャンセル・欠航したといいます。

畑中さん:
「テレビで天気予報やってるでしょ、それと携帯電話で見て。波が高いとかね、2.5〜3mぐらいかな、そういう時は欠航ですね。荒れてくる時は風の方向で分かりますからね。撤収早くするとかね」

 また船内には、定員分のライフジャケットと浮き輪も用意しています。

畑中さん:
「このマークが無かったらダメなんですよ。これが無いと船検(船舶検査)も通らない」

 4月23日に起きた知床沖の遭難事故について、畑中さんはこう話します。

畑中さん:
「あれだけ浅瀬があったら近くに行ったら乗り上げるわね、磯へ。(事故を起こした船長は)経験も浅いってこともあったんじゃないですかね」