2022年3月、愛知県一宮市にオープンした「一宮漁港」は、魚介類が自慢のスーパーです。東海北陸の漁港から毎朝直送される鮮度抜群の魚介類が並び、大量のマグロやエビがのった大盛丼ぶりなどのテイクアウトメニューもあって人気となっています。

■漁港から毎朝仕入れる鮮度抜群の魚介類が並ぶ…海のない一宮にオープンしたスーパー「一宮漁港」

 木曽川沿いの町・愛知県一宮市の起(おこし)地区に2022年3月、スーパー「綿半魚類(わたはんぎょるい)一宮漁港」がオープンしました。

【画像20枚で見る】海のない市にその名も『一宮漁港』…鮮度と安さを実現する魚介類が人気のスーパー

東海北陸の漁港から毎朝仕入れる種類豊富の魚は、新鮮でお値打ちと評判です。

女性客:
「マグロと貝とカワハギ、煮付けにしようと。お魚がすごく新鮮だと聞いたので」

男性客:
「いろんなものが安いし、得した気分」

別の男性客:
「ヤマメだね。自分で塩焼きにする」

店頭には漁港でもめったにお目にかかれない珍しい魚や、キンメダイにノドグロ…。イワナや、長野で生まれた巨大サーモンまで揃っています。

■「ボウチョウカサゴ」に「ハチビキ」…プロでも知らない珍しい魚が並ぶ鮮魚売場

 開店3時間前の朝7時。富山の黒部漁港や三重の紀伊長島など、各地の漁港から魚が届きます。1匹丸ごと仕入れる鮮魚は、どれもその日の朝に届いた新鮮なものです。

仕入れ担当者:
「アジの干物を10枚500円で売っているけど、沼津からの直送で。価格メリットもあるが、本来売りたいのは“生”のもの。これ沼津からのいい魚」

この日は、静岡・沼津漁港から珍しい魚が入荷してきました。カサゴと区別がつかないことから“ウッカリカサゴ”とも呼ばれる「ボウチョウカサゴ」に、赤身なのに白身魚のような味の「ハチビキ」。どちらも非常に珍しい魚です。プロでも知らないほど、珍しい魚が並ぶ鮮魚売り場を目当てに訪れる人も多くいます。

鮮魚売り場のチーフ:
「漁獲量も少ないので、量販できる魚じゃないので使う業者がなかなかいない。でも食べてみるとすごくおいしい。色んな人にわかっていただければ」

■東海北陸の各港にバイヤーを配置…直接仕入れることで実現した低価格

 多種多様な魚を安く仕入れ、獲れた日の朝に店頭に並べられるために、独自のシステムがあります。

店長:
「それぞれの拠点にいるバイヤーが買い付けてきたものを、市場を介さず送ってもらう形式」

金沢、富山黒部、沼津、三河一色、紀伊長島など各漁港にいる仕入れの担当者が直接買い付けることで、価格を抑えると共に、珍しい魚も入手しています。

「一宮漁港」を経営するのは、全国でスーパーとホームセンターを37店舗展開する「綿半(わたはん)グループ」。ここにも新鮮で安く提供できる秘密がありました。

綿半パートナーズの担当者:
「グループに綿半パートナーズという会社があり、そこが共通で仕入れています。目利きで仕入れて、それを自社の物流便に乗せて店まで届ける」

「綿半グループ」は、卸売市場はもちろん、漁港からも一括で仕入れることでこの価格を実現させました。

 まだ夜も明けない午前4時。三河湾の魚介類が水揚げされる愛知県西尾市の一色漁港に、「一宮漁港」の仕入れ担当者の姿がありました。

仕入れ担当者:
「全部で6店舗分を仕入れる。マダイが良くなってきているので、その辺を仕入れる」

新鮮な魚をお値打ちに提供するために、自分の眼で見て仕入れ、すぐに生け締めし、自ら店舗まで運びます。この日仕入れたのは、マダイ50匹、マアジ15キロ、サバ20キロなど6店舗分。大量に仕入れることでコストダウンにもつなげています。

セリが終わると、すぐに漁港を出発。店が開く時には店頭に並びます。

■本店のある長野飯田で養殖…ニジマスを改良して生まれた貴重な「アルプスサーモン」

「綿半」の本店は、海から遠く離れた長野県飯田市にあります。「一宮漁港」では、イワナやヤマメ、コイなど、長野で養殖された淡水魚も生きたまま販売しています。その中に、めったにお目にかかれない「アルプスサーモン」もありました。

仕入れ担当者:
「長野から直送で。味は濃く身もしっかりしている。あげて翌日には届くので、ノルウェーだと2、3日かかるのが…。長野が母体なので、地の利を生かしてやらせてもらっています」

2007年に長野県飯田市でニジマスを改良して生まれた「アルプスサーモン」の身は肉厚で、脂がのって濃厚。海外産サーモンの入荷が少ない今、注目の魚です。

切り身での購入も可能ですが入荷が少ないため、食べてみたい方は予約がオススメです。

■「アッと驚く商品を提供したい」…マグロの赤身を乗せられるだけ乗せた丼ぶり「まぐろマウンテン」

 開店の午前10時。開業からまだ1か月ですが、既に地元だけでなく名古屋や岐阜でも評判で、この日も開店と同時に多くの人が来店します。

女性客:
「安いし新鮮で。半額でした」

「一宮漁港」のウリは、鮮魚だけではありません。厨房では、マグロを盛り付けるスタッフの手が止まりません。

マグロ丼を作るスタッフ:
「『高さを出せ』と言われたんですけど…、崩れちゃう」

惣菜コーナーに並ぶのは、驚きのテイクアウトメニュー。マグロの赤身を乗せられるだけ乗せた「まぐろマウンテン」(1382円)は、食べる時に取り皿が要りそうな量…。

姉妹品の、サーモンにイクラ、ホタテが乗った「海鮮パフェ」(1382円※内容は仕入れにより変更)もあります。

エビの天丼「えび天タワー」(1078円)は、7本のブラックタイガーの天ぷらが、ご飯の上に直立しています。

天丼を作るスタッフ:
「7本立てて、真ん中をタマネギの天ぷらで固定させるっていう。アッと驚く商品を提供したい」

このブラックタイガーの天ぷらは、店頭に並ぶとすぐに売り切れる惣菜コーナーで1番の人気商品です。

海のない一宮市起地区にオープンした「一宮漁港」は、まさに魚介類のテーマパークです。