ロシア軍の侵攻開始からまもなく3か月です。岐阜県に避難してきたウクライナの10歳の少女が小学校に初登校しました。練習を続けていたという日本語のあいさつ、教室でついに披露することになりました。

 今年3月、ウクライナ東部・クラマトルスクから日本に避難したエヴァ・マリッチさん、10歳。

 岐阜県各務原市に住む叔母のスビトラーナさん(39)を頼って、母・ナタリヤさん(32)ら家族4人で避難してからすでに2か月。この間、ボランティアが開いてる日本語教室に通ったり、エヴァさんの妹・3歳のミアちゃんが幼稚園に通い始めるなど、日本での新生活が始まりました。

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 5月16日、エヴァさんが小学校に初登校する日を迎えました。

伯母のスビトラーナさん:
「ランドセルは日本語の学校の先生にもらった。水筒はエヴァが自分で選んだ」

 この日のために、好きなピンク色で新しく買い揃えた筆箱や給食袋。

 生後11か月の時から付けていたピアスは…。

伯母のスビトラーナさん:
「きょう10歳で初めて外しました」

 日本の学校のルールを守るため、初めて外します。

 エヴァさんは今年3月まで、クラマトルスクの小学校に通っていました。

 しかしロシアの軍事侵攻により、近くの駅がミサイル攻撃を受けるなど、生活は一変。

 エヴァさんの父親は、今もクラマトルスクで警察官として街の治安を守り続けています。そんな父親に、エヴァさんは日本語の自己紹介を何度も披露していました。

エヴァさん:
「(日本語で)こんにちは、私はエヴァ・マリッチです。ウクライナから来ました。よろしくお願いします」

父親:
「すごいね、うれしいよ」

 16日午前7時半。エヴァさん、いよいよ出発です。初登校は日本で生まれ育ったいとこのニコラスくん(小2)と一緒。

 校長から大好きな算数の教科書を受け取ると興味津々。そして、言葉で困った時に使う翻訳機も手渡されました。

クラスメート:
「エヴァさんを迎えに来ました」

エヴァさん:
「おはようございます」

 そして、いよいよ教室へ…。

エヴァさん:
「私の名前はエヴァ・マリッチです。ウクライナから来ました。絵を描くこと、算数が好きです。よろしくお願いします」

クラスメート:
「よろしくお願いします」

 お父さんにも披露していた日本語での自己紹介。無事にできました。

 体育の授業、この日は6月の参観日に保護者へ披露するダンスの練習です。ウクライナでダンス教室に通っていたエヴァさん。得意のダンスを元気いっぱい踊っていると、周りにはクラスメイトが。クラスメイトとも徐々に打ち解けているようです。

クラスメート:
「日本に来て楽しそうに過ごしてるのが、私も嬉しいです。昼休みとかに国語の勉強をちょっと教えたいと思います」

Q.ダンス楽しかった?

エヴァさん:「うん」

 その後、校長から学校生活に必要な日本語を学びました。

校長:
「給食なんかは全部食べられたみたいだし、休み時間もお友達と一緒に遊んでいたと聞いて、良かったなと思っています」

 大好きな算数の授業では“はなまる”をもらうなど、充実した1日を過ごしたエヴァさん。日本での学校生活の一歩を踏み出しました。

エヴァさん:
「(Q.学校はどうでした?)とっても良かったよ」

母親のナタリヤさん:
「無事に学校に行けて、もう心配はなくなりました。エヴァのことを一日中考えていましたが、彼女はすごくしっかりしていてとても安心しました」