参議院選挙は7月10日が投開票日です。景気の動きに敏感な名古屋の夜の街「錦三」に集う人たちに、「いま政治に望むこと」を聞きました。

■「国が少しは補助を…」物価上昇に不安を抱く美容院経営の男性

 若者や会社員で賑わう夜の街、名古屋・栄の「錦三」。老舗・鳥料理店「鳥勢」は活気が戻り、売上もコロナ前の7割ほどに回復したといいます。

【動画で見る】名古屋の繁華街・錦三で聞いた“政治に望む事”

 客として訪れていた38歳の福原和朗さんは、美容室の経営者です。

福原さん:
「美容業界にも、光を浴びせてもらった方がいいかなって思いますかね…」

栄と錦で美容院を経営し、従業員13人を抱えています。2年前、四日市市にも新店舗を開業。コロナ禍も落ち着きようやく軌道に乗ってきましたが、「物価の高騰」に不安を抱えています。

福原さん:
「石油関係が上がっているということは、カラー剤もそういうのを使っているので、必然的に(値段が)上がってはくると思うので…。(国が)少しは補助とかやってもらえると、すごい負担にはならないかなって」

 美容院3店を経営する福原さんが、製油製品のカラー剤に1か月で使う金額は約70万円。

福原さん:
「“人をきれいにするお仕事”っていうところでも、そこで付加価値を得られるものがたくさんあると思うので、そこも大事にしてもらえると…」

■「流れは変わらず続けてほしい」…深夜まで営業する居酒屋店長は「第7波による行動制限」を心配

 深夜3時まで営業する居酒屋で、店長を務めている渡邉自生さん(27)は、客足の伸びに手ごたえがないため、店長で自ら店頭に立ち、客を待ちます。

今回、期待しているのは「賃上げ」です。

渡邉さん:
「飲みに来てもらいやすい環境を作りたいので、みんなの所得が上がれば来てくれるのかなとか。(お客さんが)潤えば、うちも潤おって、僕らも潤うって思うので。会社の売上がなきゃ、そりゃ給料も上がらんだろうと…」

「コロナ対策」が緩和され、店内の仕切りも外しました。

渡邉さん:
「自由に飲める空間の方がいいなと思って…。個々の自己管理でいいのかなとは思ったりはしますかね」

しかし、コロナの感染はまたも広がり始めました。渡邉さんは「第7波」への警戒感が高まり、再び行動制限が求められることを心配しています。

渡邉さん:
「お客さんのルーティンというか環境も変わってきたら、僕らはたまったもんじゃないもんで、その流れは変わらず続けて欲しい」

■コロナ感染者が再び増加する中…20代カップルは“マスク外せる生活を”

 コロナ対策は、若者も気になっています。錦三にある“のれん街”に、仕事終わりに飲みに来ていた20歳のカップルは、アルバイト先で出会い、交際して1年半になります。

男子学生(20):
「マスク着けとるじゃないですか。もう着けなくていんじゃないかなって思います。バカバカしいっていったらあれですけど…」

 彼女は、化粧品の販売員として働いているだけあって…。

化粧品販売員の女性(20):
「とりあえず若者って…特に女性なんですけど、マスクしてるとメイク崩れるじゃないですか。そこを改善していただきたいなと、私は思いますね。(マスクを外せる)生活に戻れたらいいなと思います」

記者:
「マスクを外させてくれる党があれば応援したい?」

化粧品販売員の女性:
「応援したいなと思います」

 コロナ対策のさらなる緩和を求める人たちもいますが、感染者は再び増加。コロナ対策への政治のかじ取りも問われています。

■日本の未来に“カンパイ!したい”…3人の若者が投票するのは「素敵な未来を作るため」

 同じように“のれん街”で盛り上がっていた3人の若者。保険会社で働く勝野礼奈さん(28)とIT企業に勤務する杉田博哉さん(24)は2021年に3か月間、シェアハウスでともに生活をしていました。この日は勝野さんの同僚を交えての会。

 3人のうち、勝野さんだけは既に期日前投票を終えていました。

勝野さん:
「今まで(選挙に)行ったことがなかったんですけど…今回初めてなんですけど、20代とか若年層の投票数が少ないから、政府が打ち出す政策が高齢者向けになっていて、あまり若年層に向いてないと思ったので、誰に入れるとかじゃなくて、20代・30代の投票数があるっていうのが大事かなと思って」

 投票率を上げ、若者に向けた政策をより打ち出してもらうため、今回始めて投票へ行ったという勝野さん。彼女が政治に願うことは…。

勝野さん:
「ジェンダーの部分とか、同性愛とか、夫婦別姓とか、その辺の自由は認められていいんじゃないかなと思っていて。多様性を認めていける社会になって欲しいと思う」

同僚の濱地遥香さん(28)は、勝野さんが今回、Instagramに投稿した内容に感化されたといいます。それは、選挙に触れているモーニング娘。の曲『ザ・ピース』の歌詞の一部を引用した投稿でした。

濱地さん:
「選挙の日は~♪」

勝野さん:
「『投票行って外食すんだ♪』みたいな」

濱地さん:
「私たちのドンピシャの世代なんですけど、そのあとに続く歌詞が、自由・未来・楽しい未来みたいな感じで。結局、なんとなく外食いきたいテンションで投票行って、楽しい未来になるんだったらいいなと思ったんですよ。景気もよくないじゃないですか、円安とかで。どんどん、自分たちの未来が良くなっていかないのは嫌だなって思って…」

「若者の素敵な未来を作るため投票する」。気軽な気持ちでも、大切なのはまず選挙に行くこと。2人の女性と同席していた杉田さんは…。

杉田さん:
「(選挙は)毎年行っています。投票しないと、政治に文句も言えないじゃないですか。ちゃんと調べて、決めて入れて、ダメだったらダメで自分の意見ももっと言えると思うし」

 自分の意見を持つための選挙と考える杉田さんは、若者の選挙参加を求めています。

杉田さん:
「今後、長く生きるのは若い方ですし、将来のことって考えるのも若い方だと思うんですよ。(若者の)投票率を上げたいと思うので、マイナンバーとか普及してきていると思うので、そういったところから連携して繋がって…。みんな(投票に)行くのが大変だと思うので、ウェブとかでやっていけたらなとは思います」

 今、選挙に必要な若者たちの声。意思表示をすることで、日本の未来は変わるかもしれません。

3人:
「日本の未来に向かってカンパ―イ」

■“ドン横キッズ”も「みんないい子」…公園でサックスの練習する経営者の40代男性「10代、20代への対策を」

 夜中の公園で、サックスを鳴らす一人の男性、コンサルタント会社を経営する金澤雄樹さん(46)は2年前、コロナの自粛期間にサックスを始め、仕事が終わると毎日のようにこの公園で練習をしていると言います。

 金澤さんが話したのは、栄のドン・キホーテ近くに集まっていた「ドン横キッズ」と呼ばれる10代の若者の問題でした。

金澤さん:
「みんないい子なんですけどね。帰るとこがないとか、朝まで暇だからってウロウロして…。だいたい未成年が酒飲んで潰れたりするから。(自分の)見た目が怖そうに見えるから、パッといくと(若者も話を)聞いてくれるんですね。『やめとけよお前』って。なんかもったいないなって」

 今、金澤さんが政治に求めていること…。

金澤さん:
「世界も大変だし、国も大変だと思いますが、もうちょっと10代20代に…。そっちみている間に10代20代がウロウロして、楽しい方に流れる、悪いことしちゃう、気付いたら犯罪になっちゃうっていう悪循環。その辺を何か対策ができたら。選挙をみんな頑張っているけど、もうちょっとここら辺をやった方が…(なかなか)目向けられないじゃないですか。なんか放置されている感じがする、現場からしたら」

 街で聞いた様々な選挙への思い。物価高騰、景気、コロナ対策、子育て支援…。多くの問題を抱える中、私たちの未来はどうなるのでしょうか。参議院選挙の投開票日は7月10日です。