2022年に行われた調査で「1日あたりのメディアへの接触時間」は、テレビの143.6分に対し、スマホが146.9分となり、初めてスマホがテレビを抜きました。

 スマホは私たちの生活に欠かせなくなっていて、名古屋駅前の修理店を取材すると、父親に卒業記念で買ってもらったものや、孫へプレゼントするものなど、様々な思い出が詰まったスマホを持ち込む人たちの姿がありました。

■「簡単には手放せない」…父親に買ってもらったスマホのバッテリー交換に訪れた男性

 名古屋駅前にある高層ビル「スパイラルタワー」の地下1階に、スマホの修理店「スマホスピタル」はあります。

【動画で見る】初めてのスマホは父親からの卒業記念…スマホ修理店で大切な思い出や時間取り戻す人々

画面のひび割れに、水没、バッテリーの交換…。私たちの生活にはもはや欠かせない、スマートフォンの修理店です。多い日は30人以上が駆け込みます。

女性客:
「画面の下が割れて…」

別の女性客:
「データ消えたら、どうしようって」

 午前10時にオープン。一人の男性がやってきました。

製造業の男性(23):
「バッテリーのもちがかなり悪くなったので。iPhone5S。大切に扱っています」

2013年に発売された古いモデルのiPhoneは、中学校を卒業する時に、父親に買ってもらった“初めてのスマホ”です。

同・男性:
「卒業記念。早速ゲームアプリを入れて、楽しんでいた記憶。簡単には手放せない…」

持ち込まれるスマホは、故障の状態や機種もバラバラ。店内には、あらゆる機種に対応できるよう、修理用の部品がストックされています。

最も多い依頼は「バッテリーの交換」(2500円 機種や故障状態により異なります)で、寿命はおよそ2年。受付からおよそ30分、交換を終えると15項目にも及ぶ動作チェックをして完了です。

父親からの初めてのスマホ、これからも大切に…。

■大切な写真や動画を保存…タンザニアでのボランティア活動の思い出が詰まったスマホ

 ゲーム機を手に、女性がやって来ました。

主婦(38):
「(子供が)落としちゃいました。走っていて、転んで」

意外と多いのが、ゲーム機の修理。子供が転んで画面を割ってしまったといいます。

小6の息子:
「一生やれないかと思った。ありがとう」

 今度はスマホの画面が割れて、操作ができなくなったと女性がやって来ました。

大学院生の女性(35):
「海外に11月までいて、その時に色々プロジェクトをやって。アフリカのタンザニア」

女性はタンザニアで5年間、“生理”に関するボランティア活動をしていました。

同・女性:
「女性の初潮、生理が始まると、もの(生理用品)がないので学校に行けないって子達が結構いた」

子供たちが学校へ行けるように、何度も使用できる布ナプキンを作って学校へ寄贈したといいます。

同・女性:
「タンザニアは国の政策としてコロナがない。ないと言っていいのかわからないんですけれども、コロナがあっても通常通りの生活を続けていく方針で、早々と国境も再開しましたし、帰ってくる前はほぼノーマスクの生活だったんですけど、日本とタンザニアのギャップにカルチャーショックだった」

コロナ禍の“生理の貧困”…。日本でも直面しています。

■スタッフ「相当依存している」…スマホがないと時間もわからない人たち

 こちらの女性は、朝起きたらなぜかスマホの電源が入らなかったといいます。

看護師の女性(32):
「LINEが使えないので、タブレットで連絡とれるように。デジタルデトックスとか流行っていますけど、なかなかできていないので、不安になります」

内閣府の調査によると、高校生のおよそ46%が1日5時間以上、スマホなどでインターネットを利用しているといいます。使用時間は、コロナ禍になり増加の一途を辿っています。

スマホスピタルのスタッフ:
「(スマホの)代替機ないって言っただけで、(お客さんは)怒りますから」

 常に手元にあるはずのスマホが、わずかな時間でもない状態に、多くの人は困惑するといいます。

同・スタッフ:
「(スマホが)ない時の立ち回りがわからない。『何時以降に来てください』っていうと、時計ないからわからないって。依存は相当している」

■中古店で壊れたスマホを購入し修理…孫にプレゼントするおじいちゃん

 今度は、2台のスマホを持ったご年配の男性がやって来ました。

会社員の男性(67):
「孫に買ってあげたスマホが、最初からわかっていましたけど、スイッチが利かなくて…」

男性は、中古店でホームボタンが壊れたスマホを約9000円で購入。修理をして、この春、中学校に進学したお孫さんにプレゼントするといいます。

2台持ち込んだ理由は、お孫さんに「白がいい」と言われたから…。中古店で購入したスマホが赤色だったため、自分の白のスマホと外側を交換するといいます。

修理を終えた男性は、スマホを持って早速お孫さんのもとへ…。

同・男性:
「おーい、来たぞ。はい、どうぞ」

中一の孫娘(13):
「ありがとう」

同・男性:
「上の孫には、これ。私が使ってたの、つい最近まで。スマホショップで電池交換してプレゼントした」

上のお孫さんにも同じく、修理したスマホをプレゼントしていました。

 スマートフォンの駆け込み寺であるスマホの修理店を覗いてみると、大切な思い出や時間を、スマホと歩む様々な人生がありました。