コロナ禍で注目が高まる新たなスタイルの薬局が名古屋に登場しました。処方箋なしでも「病院の薬」が買える仕組みを取材しました。

 7月9日、地下鉄名城線栄駅・南改札すぐのところにオープンした「セルフケア薬局」。馴染みのある一般的なドラッグストアとはちょっと違います。

この薬局で売っているのは、本来、医師の処方箋をもとに病院や調剤薬局でしか手に入れることができない「医療用医薬品」。市販の薬に比べ、効果・効能がより期待できるとされています。

【動画で見る】処方箋なくても“病院の薬”買える…コロナ禍で注目集まる『零売薬局』ドラッグストアとは違う第三の選択肢に

処方箋がなくても薬剤師の服薬指導を受ければ、いわゆる「病院の薬」を買うことができるというわけです。

スマホで問診票を記入して、薬を受け取るまでは10分ほど。さらに、セルフケア薬局で買える医療用医薬品は公的保険が適用されないため、薬代は全額自己負担となりますが、診察費用がかからない分、薬の種類によっては負担額がこれまでより安くなることもあるといいます。

 医療用医薬品を薬剤師の服薬指導の下、処方箋なしで売るこの「零売」。20年ほど前から厚生労働省が条件付きで認めてきたシステムで、今では東京を中心に全国に広がっています。

このセルフケア薬局は、名古屋で初めての零売専門店。運営するのは、名古屋に本社のあるベンチャー企業「GOOD AID」。全国で零売薬局を展開しています。

GOOD AIDの社長:
「零売の本質は、まず明らかに時短になるんですね。コロナ禍の中で、密な環境でわざわざ花粉症の薬だけで(病院に)もらいに行きたくないという方とか、混んでいるクリニックさんだと2時間くらい待って、先生の診察はもう少し短時間で、さらに会計で待たされて薬局でも待たされて、それをどうしても変えていかないといけないなと思っているのが現状です」

コロナへの感染リスクから病院の受診控えが増える中、ドラッグストアとはまた違う「第三の選択肢」として注目が集まる零売薬局。

必ずしも病院での受診が必要ない人のケアができ、社会保障費の負担軽減にもつながるといわれています。現場の薬剤師は…。

薬剤師:
「お悩みがあったりしたら助けになることがあればいいなと思って。あとは生活習慣の提案とか、こちらもいろいろと勉強になることがありますので」

GOOD AIDの社長:
「医療機関・クリニックに行く前に、セルフメディケーション、未病予防、そういった薬局の役割が町の保健室みたいな形で、薬剤師にまず相談しようと思ってもらえるようなファーストタッチのポイントになっていければという思いです」

零売薬局では、医療用医薬品・約1万5000種類のうち、半分ほどの薬が購入可能です。処方箋の必要がない、痛み止め、胃腸薬、風邪薬、アレルギーの薬などが対象で、医師の処方箋が必要な高血圧や糖尿病の薬などは買うことができないということです。