減税日本の代表を務める名古屋市の河村たかし市長と、日本維新の会の共同代表の吉村洋文大阪府知事。2つの党はこれまで選挙の度に協力していましたが、統一地方選挙では独自に候補を立てて戦うことになりました。背景に何があるのでしょうか。

 11月7日、河村市長の記者会見。

河村名古屋市長:
「維新さんとも長い付き合いだで、丁寧にやっとったですよ。ところが…ということになりまして、『独自で頑張りたい』と。維新さんの方がそう言わっせるもんでしょうがないがね」

河村市長が未練たっぷりに話したのは、減税日本と日本維新の会との選挙協力について。2023年の春に行われる愛知県議選や名古屋市議選について、維新側から減税とは協力をせず、独自に戦いたいという意向を伝えられました。

 共に「非自民」の保守系の地域政党として、2010年に産声を上げた減税と維新。2つの党は以前から協力関係にありました。

【動画で見る】河村市長は未練たっぷり…減税日本と日本維新の会 来春の統一地方選は協力せず「独自で」背景には何が

前回2019年の名古屋市議選では、維新の愛知県支部が推薦したことで、8議席だった減税は14議席獲得と大幅増。

吉村大阪府知事(2022年6月):
「減税日本と日本維新の会、一緒になって広沢さんを応援してます」

22年夏の参院選でも、河村市長の右腕・広沢一郎前副市長を維新が公認候補として立てるなど、2つの党は政治的なスタンスが近いことから、選挙の度に連携を続けてきました。

河村名古屋市長:
「維新さんで言うと『身を切る改革』ですか、僕らが言っとるのは『市民並み給与』と言うんですけど、ほとんど同じ意味ですので」

他にも、河村市長が維新の政治塾に参加したり、候補者の応援に出向くなど、双方にメリットがある「ウィンウィン」の関係だったといいます。

 ではなぜ、維新は減税との関係を見直すのでしょうか。藤田文武幹事長に直撃すると…。

日本維新の会の藤田幹事長:
「今違う政党にいるということは、ある種違う意思決定で動いていて、お互いの考える条件とか今後の展望をいろいろ擦り合わせをしたことで、今回については『お互いベストを尽くして戦いましょう』ということになったということですね」

つまり、維新と減税で異なる政策に対し、減税側の政策を優先する候補者は受け入れられないということです。

例えばマイナンバーカードを巡っては、維新は普及や活用に積極的ですが、河村市長は否定的と、政策によっては姿勢が全く異なっています。

 もう一つ背景にあるのは、維新の勢い。愛知県内の国政選挙でも、年々得票数が伸びています。このため維新は「候補者が揃えば独自に戦える」と自信を持ったようです。

日本維新の会の藤田幹事長:
「特に愛知はポテンシャルが非常にあってですね、今、現職議員は一般市も含めて少ないんですけれども、これを積極擁立することでやっぱり地域の声をちゃんと聴ける、そういう体制を愛知県でもつくっていきたい。40〜50人ぐらいは(愛知県)全域で擁立したいなと」

これまでの協力関係から一転、直接戦うことになる維新と減税。前回の統一地方選挙の後も離党者が相次ぎ勢いがない減税にとっては大きな痛手ですが、ある議員は胸の内をこう明かしました。

<減税議員>
「残念だけど淡々とやるだけ。ただ、維新も選挙まであと半年を切ったところで、判断がギリギリすぎる。地方選挙は風だけではなかなか厳しいですよ。お互いにとって厳しい道を選んだと思います」