6人による争いとなっている愛知県知事選挙は、2月5日が投開票日だ。有権者が関心のある分野について、各候補はどんな考えを持っているのか。重要な争点の一つ、子育て・教育政策について聞いた。

■知事選の争点の1つ「子育て・教育」 学費や預ける保育園に悩む県民

 愛知県の有権者に、新知事に期待する政策について尋ねた。

女性(20代):
「働きながら育てる上で、そういう環境が整っていったらいいなって思います」

男性(30代・子供4歳)
「未来のある子供たちに、もうちょっとフォーカスしてほしいかなって」

今回の愛知県知事選挙の争点の1つが、「子育て・教育」政策だ。

【動画で見る】2/5投開票の愛知県知事選挙…争点の1つ「子育て・教育」候補者たちの政策は

ニュースONEが2023年1月に、有権者100人に実施したアンケートでも、20代から40代の子育て世代を中心に関心が高い結果だった。

女性(30代・子供が小6)
「やっぱり学費は気になりますね。どのくらい補助してくれるのかとか」

女性(30代・子供が3歳と1歳)
「復職したくても保育園に入れなくて。なかなかお金もないから、働かないといけないし」

学費を気にかけたり、子供を預ける保育園に悩んだり。子育てや教育の分野で行政が果たす役割は、極めて重要だ。

■「所得制限されるところは裕福じゃない…」 子育てのための手当の支給対象に不公平感

 名古屋市に住む、中村尚美(仮名・40)さん。

小学生の長女(小6)、長男(小3)と1歳半の次女、夫(44)との5人暮らしだ。

今は専業主婦として家事に育児に大忙しの毎日を送っているが、次女が生まれるまでは保育士として働いていた。

尚美さん:
「今、保育料が多分6万円以上かかっちゃうので、ひと月。私がパートで働いた分がほぼなくなっちゃうので(働けない)。第2子から保育料が無料だったらありがたいなって」

次女を保育園に預けて働きに出ても、その収入は保育料でほぼなくなってしまうという。これでは働きに出られない。

支援があればと思うのは、他にもある。

尚美さん:
「(おむつを出しながら)これ58枚入りで、1日10枚くらいは使っちゃうから、1週間もたないんですよね」

最近値上がりしたというオムツ代は、月に6000円以上。

尚美さん:
「ピアノに7500円、スポーツ教室に6050円、バイオリンで1万円が必ず(毎月)かかってくる」

3人の習い事や給食費にかかる金額は、月に約4万5000円。

この春地元の公立中学校に進学する長女(11)の制服代は、8万円近くにも上る。

子育てに関する出費はかさむ一方だが、中学校を卒業するまでの子供1人につき月額1万円から1万5000円が支給される児童手当は受けることができない。

夫の年収が所得制限の上限をわずかながら上回り、児童手当の支給対象から外れるためだ。コロナ禍で愛知県が1万円を支給した、「子育て世帯臨時特別給付金」も対象外だった。

長女(小6):
「楽器を演奏する学校とか行きたい」

長男(小3):
「気象予報士になりたいです」

子育てに手もお金もかかるのはどこも同じだが、収入に応じた税を納め、義務を果たしているのに、支援の枠外に追いやられている現状に、尚美さんは不公平感を感じている。

尚美さん:
「所得制限されているところって裕福じゃない。もう1人欲しかったけど、こんなにお金がかかるなら産むのやめよう、児童手当貰えないならやめよう、ってなりますよね」

子育てとは、将来の社会の担い手づくり。ようやく重い腰を上げようとしている国に先駆け、東京都が18歳以下の子供全員に月5000円の支給を決めるなど、自治体が特色を出しやすい分野でもある。

■全6人の候補者に聞いた…掲げる「子育て・教育政策」政策は

 子育て・教育政策について、6人の候補者が掲げる政策を聞いた。

安江朗(やすえ・あきら 55)さんは「資格不要」。

安江朗さん:
「保育士の労働環境の改善は、非常に多くの課題を含んでいると思いますので、その重労働の部分を資格のない方がサポートする」

安江さんは、保育士を支えるサポーターを導入して、保育所の受け入れ態勢を強化し、子供の預け先を増やすと訴えている。

末永啓(すえなが・けい 37)さんは「賃金所得倍増」「高校受験廃止」「オーガニック給食推進」。

末永啓さん:
「家計や将来に不安がないように、所得を倍増することをやって、生活に不安がない中で将来に希望が持つことができれば、家庭を持ったりとか子を授かったりとか(につながる)」

末永さんは、若者をはじめとした県民の所得を倍増させて生活への不安をなくすことが、子育ての支援になるという考えだ。

山下俊輔(やました・しゅんすけ 60)さんは「18歳までの医療費無償化」「第二子以降の保育料完全無料化(国籍条項あり)」。

山下俊輔さん:
「高校の無償化とか大学とか、子育てにかかるお金が軽減されれば少子化克服につながる」

山下さんは、18歳までの医療費と第二子以降の保育料の無償化で子育て世帯を支えたいとしている。

上原俊介(うえはら・しゅんすけ 46)さんは、「18歳未満の医療費の無償化」「第二子以降の保育料の無償化」「保育士増員等の支援」。

上原俊介さん:
「保育士さんが足りなくなるような話を聞いておりますので、保育士さんの職場環境を整えることによって間接的にお子さんの子育てを支援していく」

上原さんは、保育士を増やせるよう職場環境を整えるほか、子供の医療費や第二子以降の保育料無償化を訴えている。

尾形慶子(おがた・けいこ65)さんは、「もう1人保育士」「30人学級を小中高校に」「将来的には第2子の保育料無償化」。

尾形慶子さん:
「保育士を増やさないといけないと思います。そうでないと、安心して子供を預けて働けないですから、子育て、少子化の今、保育が安心して預けられる保育の状況でないと」

尾形さんは、保育士を倍増して子供を預けやすいようにするほか、学校では30人学級を実現したいとしている。

大村秀章(おおむら・ひであき 62)さんは、「若者雇用、家計支援」「教育の無償化」「保育環境の整備」。

大村秀章さん:
「若い世代の方々がしっかり正規雇用、安定した職に就けるということがまず大事ですよね。そうして結婚していただいて、子供を産んで育てていただける、そういう環境を作りたい」

大村さんは、若者の雇用促進のほか、現金支給などの家計支援も継続して、出産・育児がしやすい環境を整えたいと訴えている。

少子化が進む中で、流れを変える政策を実行するリーダーとして選ばれるのは誰か。投開票は、2月5日だ。


【愛知県知事選挙の立候補者(届け出順)】

・安江朗氏(やすえ・あきら 55)無所属・新人

・末永啓氏(すえなが・けい 37)無所属・新人

・山下俊輔氏(やました・しゅんすけ 60)諸派・新人

・上原俊介氏(うえはら・しゅんすけ 46)無所属・新人

・尾形慶子氏(おがた・けいこ 65)無所属・新人 推薦=共産

・大村秀章氏(おおむら・ひであき 62)無所属・現職 推薦=自民県連、立憲民主、公明、国民民主


2023年2月1日放送